本年2月1日に91歳で逝去した旧大日本製薬(現・住友ファーマ)元代表取締役会長・社長 渡守武健氏の「お別れの会」が21日、大阪市内のホテルで開催され、約700名の参加者が在りし日の故人を偲んだ。
渡守武氏は、昭和6年に大阪市で生まれ、3歳の時に淡路町に引っ越してからは、大阪本社のある「くすりの町」道修町が遊び場であった。昭和29年に京都大学医学部薬学科を卒業し、大日本製薬に入社後、外国事業室長、東京開発薬事部長、社長室長、営業本部長等の要職を歴任し、平成5年代表取締役社長、平成11年代表取締役会長に就任。平成17年には、住友製薬との合併を決断し、大日本住友製薬(現・住友ファーマ)の誕生に大きく貢献し、相談役に就任した。
大日本製薬社長に就任後は、バブル経済崩壊後の複合不況や医療保険制度改革、とりわけ薬剤費抑制の論議が活発になるなど医薬品業界にとっては厳しい環境となった。こうした中、その変化をチャンスとして捉え、リストラ(事業再構築)、エンジニアリング(経営の仕組み、プロセスの改革)、リマイディング(意識の変革)を軸とした経営構造の変換に取り組んだ。
また、大日本製薬100周年を迎えるに当たって、企業活動の指針となる「企業改革ビジョン(P-UP21)」を策定し、経営活動基本姿勢や価値観を「理念」とし、企業理念・経営理念・行動理念として体系づけた。
業界活動にも積極的に関わり、くすりの適正使用協議会会長、大阪医薬品協会会長、日本製薬工業協会副会長としてわが国の製薬業界の国際競争力強化と、医薬品業界の持続的な発展のために貢献した。
渡守武氏は、仕事においては何事も好奇心旺盛でかつ真摯な態度で臨んでいたが、何時も社員やその家族に対する気配りは欠かさなかった。プライベートではゴルフを嗜み、相当な腕前を持っていた。また、阪神タイガースの熱烈なファンで、大日本製薬本社猛虎会の会長を務めるなど、社員からは「豪快だけれども温かい一面も併せ持つ社長」として慕われていた。
◆野村博住友ファーマ代表取締役社長のコメント
私達役員一同は、故人の座右の銘である「初心忘るべからず」、「絶えざる好奇心を持て」、そして「忘己利他(己を忘れて他を利す)」の精神を受け継ぎ、「人々の健康で豊かな生活のために、研究開発を基盤とした新たな価値の創造により、広く社会に貢献する」の理念のもと、さらなる飛躍のために邁進していく所存である。
ここに、故人が生前に皆様より賜わった数々のご厚誼に対し衷心より熱く御礼申し上げるとともに、故人の安らかな永眠をお祈りしたい。