15価肺炎球菌結合型ワクチン「バクニュバンス」  小児の適応追加承認取得 MSD

 MSDは26日、15種類の肺炎球菌血清型に対応した沈降15価肺炎球菌結合型ワクチン(無毒性変異ジフテリア毒素結合体)「バクニュバンス」について、小児に対する適応の追加承認を取得したと発表した。
 適応は、肺炎球菌による疾患に罹患するリスクが高いと考えられる18歳未満の者における肺炎球菌(血清型1、3、4、5、6A、6B、7F、9V、14、18C、19A、19F、22F、23F及び33F)による感染症の予防。
 および小児における肺炎球菌(前述15種類の血清型)による侵襲性感染症(以下、IPD)の予防。
 小児において肺炎球菌は、肺炎や中耳炎の原因になるとともに、肺炎球菌が血液に侵入すると敗血症を引き起こしたり、脳や髄膜に入り込むと髄膜炎を発症するなど重篤なIPDの原因になる場合がある。
 特に、髄膜炎を発症した場合、2%の子どもが亡くなると言われ、命をとりとめても10%の子どもに難聴や精神発達遅滞、四肢麻痺、てんかんなどの後遺症が残ると言われている。
 日本では、小児の定期接種として「沈降13価肺炎球菌結合型ワクチン(無毒性変異ジフテリア毒素結合体)」(以下、13価肺炎球菌結合型ワクチン)が導入された後、同ワクチンに含まれる13種類の血清型(1、3、4、5、6A、6B、7F、9V、14、18C、19A、19F及び23F)によるIPDが減少しているが、肺炎球菌は依然として小児の細菌性髄膜炎などの主な原因菌であり、注意すべき病原体である。
 今回の小児に対する追加適応は、小児における安全性、忍容性および免疫原性(抗体の産生など免疫反応を誘導する性質)を確認する国内外の臨床試験の成績に基づいて承認された。
 15価肺炎球菌結合型ワクチンである「バクニュバンス」は、国内P3相033試験において、0歳の3回接種(初回免疫)で13価肺炎球菌結合型ワクチンが対応する13種類の血清型に対して免疫原性を維持していることが確認され、加えて、IPDを引き起こす他の2種類の血清型(22F及び33F)への免疫原性も確認された。
 この結果は、1歳の4回目接種(追加免疫)でも一貫していた。なお、米国では米国疾病予防管理センター(CDC)が、13価および15価肺炎球菌結合型ワクチンについて、小児への接種を推奨している。
 バクニュバンスは、2022年9月26日に、成人における15種類の肺炎球菌血清型による感染症の予防について製造販売承認を取得し、本年4月10日に発売された。
 MSDは、1988年に23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン「ニューモバックス」を発売して以来、約35年にわたって日本人の肺炎球菌感染予防に貢献してきた。また、小児を対象とするワクチンとしては、ロタウイルスワクチン「ロタテック」、B型肝炎ワクチン「ヘプタバックス-II」などを提供している。

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