MPPによる後発品メーカー7社と「ゾコーバ」のサブライセンス契約締結 塩野義製薬

 塩野義製薬は26日、 国連が支援する公衆衛生機関であるMedicines Patent Pool(MPP)によるジェネリック医薬品メーカー7社との新型コロナ経口治療薬「ゾコーバ」の製造に関するサブライセンス契約を締結したと発表した。
 今回の契約締結は、MPPとの間で昨年10月に締結したヘッドライセンス契約に基づくもので、低中所得国におけるゾコーバのアクセス拡大を目的としている。
 ゾコーバは、ウイルスの3CLプロテアーゼという酵素を選択的に阻害することで新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の増殖を抑制する経口抗ウイルス薬である。
 日本では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療薬として2022年11月22日に厚生労働省から緊急承認を取得している。米国においては、米国FDAより開発の促進や審査の迅速化を目的とするファストトラック指定を本年4月に受領している。
 今回締結されたサブライセンス契約は、MPPと7社のジェネリック医薬品メーカーとの間で結ばれた契約であり、中国の3社(Zhejiang Charioteer Pharmaceutical Co., Ltd. / Zhejiang Lepu Pharmaceutical Co.,Ltd. / Fosun International Limited)、インドの2社(Hetero / Laurus Labs Limited)、ウクライナ(Joint Stock Company Lekhim)およびベトナム(Stellapharm J.V. Co., Ltd.)の各1社が対象となる。
 MPPが日本の製薬企業との間で初めて締結した塩野義製薬とのヘッドライセンス契約における条件に基づき選定されたジェネリック医薬品メーカー7社は、今後117の低中所得国(LMICs)でゾコーバの製造・供給が可能となる。

◆手代木功塩野義製薬代表取締役会長兼社長 CEOのコメント
 今回4カ国、計7社のジェネリック医薬品メーカーがMPPとサブライセンス契約を締結され、LMICs向けにゾコーバのジェネリック医薬品を製造するというコミットメントを表明されたことをとても喜ばしく思う。
 当社は、MPPのような国際機関とパートナーシップを形成し、同機関の持つ優れたスキームを活用することが、世界中の多くの人々にとって重要な課題となっている医薬品へのアクセスを改善する上で有用であると考えている。
 このたびのサブライセンス契約が、LMICsで生活される人々にCOVID-19治療の新しい選択肢を適正な価格でお届けすることに繋がるものと信じている。塩野義製薬は、基本方針に掲げる、常に人々の健康を守るために必要な最もよい薬を提供することに、引き続き真摯に向き合い、グローバルで取り組みを進めていく。

◆Charles Gore Medicines Patent Pool代表のコメント エンシトレルビルのジェネリックを開発し、できるだけ早くお届けできるように、ジェネリック製造パートナー7社すべてと緊密に協力し合うことを楽しみにしている。
 COVID-19はもはや公衆衛生上の緊急事態には分類されていませんが、未だ大陸間では患者数の増減を繰り返しており、我々がこの病気と共存することが国際的な懸念事項であることは間違いない。そのため、LMICsで質の高い効果的な治療法を早期に利用できるようにすることは依然として非常に重要なミッションである。
 私は、本契約がMPPと締結する最初の契約となる、ウクライナのLekhim JSC社と中国のZhejiang Charioteer Pharma社、Zhejiang Lepu Pharma社 との契約締結を心から歓迎する。

◆MPPを設立したUnitaid の副事務局長であるTenu Avafia氏のコメント
 Unitaidは、LMICsにおいて新しい医療技術をできるだけ早く利用可能とし、広くアクセスできるようになることをビジョンに掲げている。現在および将来のパンデミックに備え、準備し、対応していくためには、医療アクセスに関する事項も考慮の上で活動に組み込む必要がある。
 このたびの7つのサブライセンス契約の締結は、我々のビジョン達成に向けたとても重要なマイルストーンである。我々は、塩野義製薬が治療法の開発における公平性、効率性、適正価格を考慮してG7の優先事項を反映していること、また、ヘッドライセンス契約に関して、MPPと早期に良好なパートナーシップを形成していることを称賛する。

◆南アフリカDesmond Tutu HIVセンターCommunity Liaison AdministratorのNombeko Mpongo氏のコメント
 私は、パンデミックの最中にCOVID-19で両親を亡くした二人の姉妹を、仕事を通じてサポートしている。私たちのコミュニティではこのような喪失が日々起きており、その都度大きな悲しみを抱えている。
 なぜなら、多感な時期を親がいない状態で生き延びようと奮闘する若者たちは、自分たちで生きていくしかなく、結果的に将来の機会を狭められているためである。
 医薬品を含む医療アクセスの改善は生死に関わる問題以上に、地域社会全体の幸福に結びつくものであるため、私の国や他のLMICsでのCOVID-19治療に対する公平なアクセスを可能とするこの発表を心から歓迎する。

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