自動車および産業機械分野の世界的サプライヤーであるシェフラーは、5月23~25日までの3日間ドイツ南部バイエルン州ニュルンベルクで開催されたMedtecLIVEに初出展した。
同見本市は、医療技術のバリューチェーン全体に焦点をあてたイベント。シェフラーは標準コンポーネントからカスタマイズ品まで、同展示会にふさわしい多彩なポートフォリオを紹介した。
今年のMedtecLIVEのテーマは「Connecting the medical technology supply chain(医療技術サプライチェーンをつなぐ)」。同は、医療技術分野で求められる厳格な品質および安全基準を満足しながら、信頼性と柔軟性を向上させ、医療機器の幅広いアプリケーションに対応する新規開発品の数々を披露した。
同見本市でシェフラーは100㎡超のブースに画像解析、手術室、ラボオートメーション向け特殊転がり軸受や駆動システムなどを展示した。その1例が、同社のベアリングとリニアガイドシステムを採用した外科用Cアーム(X線透視診断装置)である。同システムは、湾曲形精密シャフトに形状加工を施したトラックローラーを組み合わせている。動きは非常になめらかで、静粛性に優れ、ゼロクリアランスにも対応可能だ。
Cアームに使用されている旋回リング付き機械式・電気機械式制動装置は、手術室や集中治療室の天井マウントとしても利用することができる。
さらに、会場では、Cアームや患者用チェアの水平方向の動きを支持するモノレールガイドシステムも展示した。これらは長年にわたり機械ツールの一部として使用されてきた実績ある技術を流用したものだ。
この他、当社航空宇宙部門「シェフラーエアロスペース」の技術を活用し、X線管内に使用される耐熱温度500℃、最高速度1万rpmの高性能ベアリングも紹介した。
Cアームを支えるもう1つの技術である高さ調整についても、2023年年明けに手続きが完了したEwellixの買収で提供が可能になった。Ewellixは電気機械式アクチュエータやリフティングコラムの世界的メーカーでありサプライヤーである。手術台ベアリング用リフト/チルトモジュールもEwellixの技術である。
シェフラーは、医療用ロボットや、高耐久型天井マウントおよび天井走行式Cアーム向けにPSCシリーズギアボックスおよびRT1/RT2シリーズ精密波動ギアを提供している。
ラボオートメーション向けには、UPLplusリニアダイレクトドライブモータに新たなサイズをラインアップに加え、リニアガイドシステム、ドライブ、多軸システム等と共に展示された。
◆ラルフ・モーゼベルグ シェフラーインダストリアルオートメーション部門責任者のコメント
医療技術は、シェフラーが高評を得ている技術分野の1つである。例えばCT(コンピュータ断層撮影)装置向けには、20年以上にわたり特殊仕様のベアリングおよびシステムを提供してきた実績がある。こうした経験を通じて、高速性や低騒音性、低摩擦性などに関する水準を築き上げている。ロボティクスと並び医療技術は、当社の未来を担う最も重要な市場の1つである。いずれも著しい技術革新と、安定的な成長が見込まれる分野である。
2023年1月に買収手続きがすべて完了し、直動技術および電気機械式アクチュエータの世界的システムサプライヤーとなる基盤が整った。広範な販売網とパートナー各社との強固なつながり、そして充実した製品ポートフォリオを擁するシェフラーが、世界中の顧客に非常に魅力的なソリューションをお届けしたい。