在宅療養サポートチーム「チーム大津京」では、自分らしい最期を迎えるための絵本「サイ五郎さんちの人生会議」作成目的に、クラウドファンディングを開始している。目標金額は120万円で、目標金額を達成した場合のみ実行者は集まった支援金を受け取ることができる(All-or-Nothing方式)。支援募集は6月30日(金)午後11:00まで。プロジェクト支援URLは、https://readyfor.jp/projects/saigorosanchi/contribution?top
事故や病気や認知症で自分自身が意思表明できなくなってしまった場合、延命治療や栄養補給や介護をどの程度まで行うことが本人の希望に沿えるのかは、家族にとっても医療者にとってもとても悩ましい問題だ。
こうした中、自分がどんな医療を受けたいかを自身であらかじめ意思表明しておくことを意味する「リビング・ウィル」が注目されるようになってきた。これに伴い、自分が受けたい医療や介護に加えて人生観なども含めて、家族や親しい人、医療・介護・福祉職などを支えてくれる人たちと元気なうちに話しあっておく「人生会議」(ACP: Advance Care Planning)も重要性を増している。
これらは、厚労省も数年前から普及啓発をしているが、「堅苦しい」「縁起でもない」と感じられてしまうのか、なかなか広まっていないのが現状である。加えて、「リビング・ウィルにはどんなことを書けば良いの?」、「人生会議で何を話したら良いの?」、「どんなカタチで意思を表明したら良いの?」などの戸惑いがあり、元気なうちに考えておこうと思っても実際なかなか難しい。
そこで、チーム大津京では、「リビング・ウィル」や「人生会議」をわかりやすく伝える[自分らしい最期を迎えるための絵本 ─ サイ五郎さんちの人生会議」を出版し、明るい気持ちで気軽に実践するための人生会議ツールとして「サイ五郎さんちの対話カード」、「人生会議の議事録」、「サイ五郎さんちの用語集」を作成することになった。
チーム大津京は、この絵本をたくさんの人に読んで貰い、ツールを使って日本各地で「人生会議」が開催されることを念頭に、出版資金への支援と情報の拡散への協力を望んでいる。
在宅療養患者(利用者)が増加していく中、「在宅療養サポートチーム:チーム大津京」は、2012年10月、在宅サポートメンバーの顔の見える関係づくりとスキルアップができる寺小屋のような居場所づくりを目的に、JR大津京駅周辺エリアで在宅療養に関わる様々な医療・介護・福祉職が集まって立ち上げられた。現在、約100名が活動している。
多職種が連携することで、① 生命(生理的健康)に対する支援、② 生活の充実(生きがいを含む)に対する支援、③ 人生の満足(生きがいを含む)に対する支援ーをより柔軟に総合的に展開。
在宅療養患者(利用者)のQOL 向上のために、2ヶ月に1回の定例集会で「在宅栄養療法」「排尿連携」などのテーマを決めてディスカッションを続けている。
少子高齢化に伴って、国の医療政策もまた、「病院から在宅へ」と大きく変わろうとしている。現在、大津市では、「チーム大津京」をはじめ、医療・介護の多職種と行政を加えた7つの在宅療養サポートチーム(Home care support team:hST)が街全体を病棟に見立て、「道路は廊下、患者さんのお宅は病室」という考えのもと、在宅の患者が住み慣れた自宅で〝理想のエンディング〟を迎えられるよう、多職種連携で支援している。