第一三共は27日、Webによる2022年度決算説明会を開催し、奥澤宏幸社長がグローバル企業への転換に向けての課題として「人材が大きなキーになる」と指摘した。
さらに、「10年前に比べるとエンハーツ(抗悪性腫瘍剤)のような優れた製品を世に生み出している会社として色々な国から人材が集まってくれている」と現状を報告。その上で、「真のグローバル企業になるには人材を引き付けて遣り甲斐を持ってもらい、生き生きと働ける環境を整備するのがこれからの課題である」と強調した。現在、同社では「グローバルな人事制度の整備を推進している」
奥澤氏は、ADC(抗体薬物複合体)の生産設備投資先にも言及し、「日本国内、米、欧の先進地域のいずれかで構築する」と明かした。
第一三共エスファを通じて展開している後発品事業については、「後発品市場は供給不安状態にあるが、当社は、オーソライズド・ジェネリック(AG)を切り開いてきた戦略により売上を伸ばしている」と説明。さらに、「日本のマザーマーケットの中では、新薬創生、後発品、OTC、ワクチンの各事業で総合的に貢献していくのが我々の強みである」と明言したうえで、「現時点では、引き続き後発品事業を続けていく」考えを強調した。
第一三共の2022年度連結業績は、売上収益1兆2785億円(前期比22.4%増)、コア営業利益1226億円(35.3%増)、営業利益1206億円(65.1%増)、当期利益(親会社帰属)1092億円(63.0%増)となった。
売上収益は、国内における共同販促終了(2021年9月)に伴うネキシウム(4579億円、6.4%減)の減収影響があったものの、グローバル主力品エンハーツ(2075億円、217.5%増)、抗凝固剤エドキサバン(2440億円、18.6増)の大幅伸長及び円安の進行による為替の増収影響等により、増収となった。売上収益に係る為替の増収影響は939億円であった。
研究開発費は、3ADC(トラスツズマブ デルクステカン、ダトポタマブ デルクステカン:Dato-DXd/DS-1062、パトリツマブ デルクステカン:HER3-DXd/U3-1402)への研究開発投資の増加等により、826億円(32.5%)増加の3367億円となった。
2023年度の連結業績予想は、売上収益1兆4500億円(対前年比13.4%増)、コア営業利益 1400億円(14.2%増)、営業利益 1350億円(12.0%増)、当期利益 (親会社帰属)1150億円(5.3%増)。