AIによる医療現場支援に大きく前進
P.A.I.(パーソナル人工知能)をはじめAIクローン技術でつくり出すパーソナルAIの開発および実用化を行うオルツは6日、 ファストドクターとオルツが保有する日本発大規模言語処理モデル「LHTM-2」を用いて、医師国家試験問題の合格基準を満たすAIを共同開発したと発表した。
両社は、度重なる実証実験を行い、医師国家試験の合格基準に到達するAIの開発に成功した。これは、2022年度の医師国家試験の合格基準を超えた82%の正答率を達成し、全400問中約10問設置されている禁忌選択問題を通過するほどの知能を備えていることを示す。
本年2月、対話能力が高く無料で使用可能なAI(人工知能)「ChatGPT」が、医学生によって医師国家試験の過去問題を解かせたことが話題になった。正答率は55%と合格基準は達しなかったものの、多くの方がAIの情報処理能力を認識した。
ChatGPTは、特定の分野に特化した学習をしていないにも関わらず、アメリカでも医師資格試験やMBA(経営学修士)試験を解かせて合格ラインに達したとの研究が相次いでおり、こうした対話型AIが、将来的には医療現場において医師の診療支援を行うことが期待されている。
こうした中、「医療AI-LHTM2」は、医学部の教科書・医学書・過去問題集・模試など学習範囲を限定し、臨床医による品質チェックや画像認識を組み合わせたことで禁忌問題の正解もできる。これらにより、医師国家試験においても合格基準を満たす精度を保証している。
豊富な診療経験を持つファストドクターと、オルツの日本発・世界で通用する大規模言語処理技術を組み合わせた同取り組みを通じて、医療安全の担保、ならびに医療従事者の働き方改革など、医療現場が抱える様々な問題解決の一助となるよう取り組んでいく。
オルツは、引き続きすべての人が時間や空間といった制約に縛られることなく活かされる社会、また、当社がミッションに掲げる「人類の労役からの解放」の実現に向け、研究開発及びサービス化に邁進していく。