アストラゼネカは9日、 フォシーガについて、欧州連合において、症候性の慢性心不全治療薬として欧州で承認を取得したと発表した。
対象は、駆出率低下を伴う心不全(HFrEF)から、駆出率が軽度低下した心不全(HFmrEF)、駆出率が保持された心不全(HFpEF)といった幅広い左室駆出率(LVEF)にわたる慢性心不全(HF)。
欧州委員会による承認は、2022年12月の医薬品評価委員会の肯定的な見解によるもので、P3相DELIVER試験の良好な結果に基づくもの。また、P3相DELIVER試験およびP3相DAPA-HF試験の事前に規定された統合解析の結果により、フォシーガは左室駆出率を問わず死亡率の改善が実証された最初の心不全治療薬としても確立された。
心不全は、慢性かつ長期的な疾患で、時間の経過とともに悪化し、欧州では約1500 万人が罹患しており、約半数の心不全患者が診断から5年以内に死亡している。
HFmrEFおよびHFpEFの患者では、死亡や入院のリスクが増加するだけでなく、症状や身体的制限が特に大きく、生活の質が低下する。また、HFmrEFおよび HFpEFは、徴候や症状が非特異的であり、他の臨床症状と重複するケースが多いため、深刻な過少診断の状態にもある。
これらの症状は、特に冠動脈疾患、肥満、糖尿病、長期に及ぶ高血圧や慢性腎臓病(CKD)などの相互に関連する複数の疾患を合併する場合が多く、このような複合症候群を有する患者さんのリスク管理の重要性が浮き彫りになっている。
フォシーガは、米国、欧州連合、中国、日本など、世界100か国を超える国で、2 型糖尿病(T2D)患者、HFrEF患者、およびCKD患者の治療薬として承認されている。
直近では、英国、日本およびトルコにおいて左室駆出率を問わない心不全の適応拡大の承認を規制当局から取得した。現在、米国および他の国において、心不全の適応拡大の申請が審査中。
◆Mene Pangalosアストラゼネカバイオファーマ研究開発部門担当エグゼクティブバイスプレジデントのコメント
左室駆出率を問わず幅広く慢性心不全に対してフォシーガの適応が拡大されたことで、より多くの患者さんがこの忍容性が良好かつガイドラインに基づく治療によってベネフィットを得ることができるようになる。
当社は、患者さんの生命を救うことのできるベネフィットを示したフォシーガにより、心腎疾患の治療の変革を進めている。このような活動は、あらゆる心不全の複雑さに対応することのできる革新的なソリューションを患者さんに提供するというアストラゼネカのコミットメントを明確に示すものである。