タクザイロ 小児の遺伝性血管性浮腫発作抑制薬としてFDAが適応追加承認 武田薬品

 武田薬品は7日、タクザイロについて、小児の遺伝性血管性浮腫(HAE)発作抑制薬として米国FDAが適応追加承認したと発表した。
 タクザイロの対象年齢の引き下げに向けたFDAへの生物製剤承認一部変更申請(sBLA)が承認されたもので、適応は、2歳以上12歳未満の小児患者。
 これまで6歳以上12歳未満の小児患者に対して承認された唯一の発作抑制治療選択肢は3~4日毎の投与を必要とし、2歳以上6歳未満の小児患者に対して承認されている発作抑制薬はなかった。
 タクザイロは同承認によりこの年齢集団にとって初の発作抑制薬となる。推奨用量は、2歳以上6歳未満の患者では単回投与プレフィルドシリンジ150 mg/1 mLを4週間隔、6歳以上12歳未満の患者では2週間隔である。
 HAE発作は、腹部、顔面、足、性器、手、喉などに深刻かつ体を衰弱させる腫脹を引き起こすことがある。上気道血管性浮腫は、3歳の子どもでも致命的な症状を示すことが報告されている。
 2017年の調査(N=445)では、平均的なHAEの診断には、症状の出現から平均で8.4年がかかった。HAE患者を対象としたこの研究では、50%が不安を感じ、34%は社会活動における困難を経験し、58%は症状が仕事の昇進に悪影響をおよぼしていると報告されている。
 sBLA承認は、12歳以上18歳未満の患者さんを対象に含むP3試験(HELP試験)の有効性データの外挿と、成人と小児患者の類似した薬物曝露を示す追加の薬物動態分析および2歳以上12歳未満のHAE患者21名における非盲検臨床P3試験(SPRING試験)の安全性と薬力学データにより支持された。
 SPRING試験の主要評価項目は、タクザイロの安全性および薬物動態であった。この試験において最もよくみられた有害事象は、注射部位疼痛(29%)、注射部位紅斑(14%)、注射部位腫脹(5%)、投与部位疼痛(5%)および注射部位反応(5%)。
 副次評価項目としてHAE発作抑制を評価した。タクザイロは小児患者におけるHAEの発作発症率を投与開始時と比較して平均94.8%低下させ、52週間の投与期間における発作は1か月あたり1.84回から0.08回になった(N=21)。
 平均99.5%の日数で無発作であり、また、患者の大多数(76.2%、n=16)は投与期間中に無発作であった。有効性の結果は非盲検非対照試験によるもので、この研究は統計的仮説検定のために設計されたものではない。これらのデータから結論を導き出すためには、追加の検証的試験が必要である。
 タクザイロは、2018年に米国で成人および12歳以上の小児のHAE患者の発作を抑制するための薬剤として、初めて承認を取得した。現在では、世界中の60を超える国で使用可能であり、HAE患者を対象とした実薬治療期間が最も長く、最大規模の発作抑制研究を含む堅固な臨床開発プログラムによってサポートされている。

◆Anthony Castaldo米国遺伝性血管性浮腫協会(HAEA)プレジデント兼CEOのコメント
 2歳という低年齢の小児患者さんを対象とする今回のタクザイロの対象年齢の引き下げの承認は待ち望まれたものであり、HAEの小児患者さんが使用できる重要な治療選択肢が追加されたことになる。

◆ジュリー・キム武田薬品U.S. ビジネスユニットプレジデント・U.S.カントリーヘッドのコメント
 今回のタクザイロの対象年齢の引き下げの承認はHAEコミュニティにとって重要な一歩であり、この疾患の最も若い一部の患者さんが長期発作抑制薬を使用することを支援する。
 当社は希少疾患領域において献身的なリーダーであり、今回の承認は、武田薬品のタクザイロへの確信と、継続的な研究、臨床プログラムおよびリアルワールドデータ収集を通じてHAE患者さんのニーズに取り組む当社の貢献を象徴している。

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