大阪府薬剤師会は13日、定例記者会見を開催し、乾英夫会長が年末年始の新型コロナ第8波とインフルエンザ同時流行における地域薬局の対応について言及。「昨年12月に新型コロナとインフルエンザの同時検査キットが一般用医薬品として承認され、地域薬局では、要望する人への供給に尽力した」と強調し、「自宅・宿泊療養への対応も含めて、地域薬局としての役割を果たしている」と明言した。
加えて、国や日本薬剤師会からの強い要請に応えて、新型コロナ抗原定性検査キットを購入できる薬局等の一覧を同会ホームページに掲載していることも併せて報告した。
また、堀越博一常務理事は、2022年度「薬局ビジョン実現に向けた薬剤師のかかりつけ機能強化事業」に伴い、2月26日に「小児在宅推進のための研修会」を開催することを明らかにした。
羽尻昌功常務理事は、2020年12月の小林化工の不祥事から端を発した後発品を中心とする医薬品不足に伴い、大阪府薬が昨年の11月18日~30日までの間、薬局会員を対象に実施した「医薬品の流通状況アンケート」調査結果の概要を総括。
「昨年度のアンケートとの比較では、今年度は先発医薬品も含めた医療用医薬品が不足している点が異なる」と指摘した。その上で、「国が進める後発医薬品の使用促進にひずみを感じているという薬局の意見が多かった」と述べた。なお、同アンケートの詳細は、後日公表される。その他、1月5日より前大阪府薬務課長の菱谷博次氏が大阪府薬会長付きに就任したことも紹介された。
新型コロナ抗原定性検査キット販売体制を告知する大阪府薬のホームページは、大阪府のホームページともリンクしており、多くの市民に閲覧されている。乾氏は、「自身の薬局にも年末年始に多くの住民からの問合せがあり、しっかり供給できた」と振り返った。
小児在宅推進のための研修会は、薬物療法を受けている小児患者に対し、高い専門性に基づく特殊な調剤や薬学的管理を実施し、入退院時及び在宅医療において地域の医療機関等と薬学管理情報の共有を効果的に行うことを目的としたもの。
2023年度初旬を目途に「小児在宅医療に対応できる薬局のリスト化を整備し、対応可能な薬局はステッカーを貼ってその主旨を告知する」スケジュールが示された。
堀越氏は、3月18日に開催される「地域フォーミュラリに関する地域薬剤師会担当者説明会」にも言及した。地域フォーミュラリは、大阪府から大阪府薬への委託事業として「後発医薬品安心使用促進事業」の一環として2021年度は、八尾市をモデル事業にPPIと抗インフルエンザ薬について展開。2022年度は、天王寺区、高槻市でモデル事業が展開されている。
今回の説明会では、これら3モデル地域の取り組みや後発医薬品の現状が報告される。堀越氏は「フォーミュラリは、今後間違いなく進んでいく。大阪府薬では、フォーミュラリ実施を希望する地域をしっかり支援していきたい」と強調した。
一方、大阪府下3534薬局のうち47.7%に当たる1686薬局が回答した「2022年度医薬品の流通状況アンケート」調査では、「希望通り医薬品が供給されている」と答えたのは0.12%、わずか2薬局に過ぎなかった。昨年との比較では、「改善された」11.8%、「変わらない」44%、「悪くなった」44%と、全体的には悪化している。
羽尻氏は、「先発品も含めた医療用医薬品が不足している点が昨年とは異なる」と指摘し、「新型コロナ第8波やインフルエンザが流行する中で、解熱剤、咳止め薬、袪痰薬などが不足している」現況を報告。
さらに、「地域薬局では、医療用医薬品の全体的な不足への対応に苦慮している。この現状は、薬剤師本来の仕事ができないことに繋がり、国民の不利益になっている」と訴えかけた。
1月26日からスタートする電子処方箋については、乾氏が、「まずは全国のモデル地区からスタートするだろう」と予測した。
さらに、「HPKI(薬剤師資格証)の取得は、管理薬剤師に加えて一般の薬剤師も申し込めるようになったが、レセコンベンダーの案内は殆どされていない」と現況を説明。その上で、「医師のHPKI取得は2万人程度であるものの、現在は、1枚でも電子処方箋が出た時にしっかり対応できるように医療機関や病院の情報を収集して伝達することが重要である」との認識を示した。
尾島博司大阪府薬連盟会長は、「2月11日に開かれる自民党大阪府議会議員団薬剤師問題議員連盟等合同総会で、田村憲久元厚労大臣・衆議院議員が基調講演を行う」ことを明らかにした。
田村氏の基調講演は、同連盟における統一地方選挙の準備や、中間での薬価改定の在り方、2024年度の調剤報酬改定などを視野に入れて依頼したもの。