武田薬品は13日、Nimbus Therapeutics社より後期開発段階のベストインクラスとなる可能性のある「NDI-034858」を取得することを決定したと発表した。
同契約にもとづき、武田薬品はNimbus Therapeutics社に一時金として40億米ドル(約5400億円)を支払い、年間の売上高が40億米ドルと50億米ドルとなった場合には、それぞれにつき10億米ドルのマイルストンを支払う。一時金の支払いには主に手元資金を充当する予定である。同取引は、2023年3月期末までに完了する見込みだが、米国で1976年に制定された改正Hart-Scott-Rodino(HSR)反トラスト法を含む独占禁止法上の審査が完了することを条件としている。
武田薬品の独占的財務アドバイザーはEvercore Group LLCが、法務アドバイザーはCleary Gottlieb Steen & Hamilton LLPが務めている。
同剤は、経口のチロシンキナーゼ2(TYK2)に対する選択的なアロステリック阻害薬であり、乾癬を対象とした最近のP2b試験の結果に続き、複数の自己免疫疾患の治療薬として評価が行われている。同取引完了後、NDI-034858はTAK-279として認識される。
Nimbus Therapeutics社は、中等度から重度の尋常性乾癬患者を対象としたNDI-034858を評価するP2b試験の良好なトップライン結果を公表した。 同社は、このP2b試験の結果を、2023年初めに公表する予定である。
NDI-034858は、2023年に乾癬を対象としたP3相試験に入ると予想している。さらに、活動性の乾癬性関節炎を対象としたP2b試験を実施中である。
同剤は、乾癬以外にも炎症性腸疾患、乾癬性関節炎や全身性エリテマトーデスを含む他の複数の免疫介在性疾患領域において、ベストインクラスの有効性および安全性を示す可能性を有する。武田薬品は、IBDおよび他の自己免疫疾患の治療薬として開発を進める予定だ。
◆アンドリュー・プランプ武田薬品リサーチ&デベロップメント プレジデントのコメント
本プログラムにより、当社の消化器領域における臨床プログラムと治療領域の焦点がさらに拡大する。NDI-034858の臨床第2b相試験の結果、特にPASIスコアから、TYK2クラスにおけるこの化合物の差別化に期待しており、自己免疫疾患の患者さんに対してさらなる治療選択肢の可能性が広がると信じている。
特異的なアロステリックメカニズムにより、NDI-034858は、強力かつ選択性の高いTYK2阻害薬で、優れた臨床的有効性を示し、忍容性が高く、広い治療域の可能性を示している。
NDI-034858は、幅広い免疫介在性疾患に対する、ベストインクラスのTYK2阻害薬となる可能性がある。
◆コスタ・サルウコス武田薬品チーフ フィナンシャル オフィサーのコメント 2019年のシャイアー社買収以来、当社は純有利子負債/調整後EBITDA倍率を2倍台前半に低下させる目標に向けて取り組み、大幅な進捗により、この目標を計画より1年前倒しで達成できる見通しとなっていた。
本件は、中長期の成長に資する投資機会であるが、本取引を完了後も、当年度は負債の加重平均固定金利は約2%、純有利子負債/調整後EBITDA倍率は2倍台前半から半ばで終えられる見込みである。
当社は、強固な財務基盤および潤沢なキャッシュフローの見通しにより、投資適格の格付けを維持しつつ、成長ドライバーへの投資や株主還元に注力する。