収益捻出体制の構築を強調 参天製薬伊藤毅社長兼CEO

伊藤氏

 参天製薬の伊藤毅社長兼CEOは8日、Webによる2022年度第2四半期決算説明会で会見し、「構造改革を進めて、事業環境にかかわらず収益を出せる企業体質に転換することで、継続的なコア営業利益の成長を実現したい」と訴求した。
 参天製薬は、2022年度第2四半期決算(2022年7~9月)において米国事業に関連する減損損失300億円を計上し、通期業績予想では当期利益が55億円の赤字決算となる見通しを示した。
 米国事業関連の減損損失計上は、2020年9月に買収した米アイバンス社の収益が計画を下回る見通しとなり、買収時想定の収益実現が困難と判断したことによるもの。
 2022年度通期予想は、売上収益2800億円、売上総利益1680億円、コア営業利益455億円、営業利益40億円、当期利益-55億円を見込んでいる。
 伊藤氏は、米州事業について、まず、「一昨年マイクロシャンドの減損を行って以降、それまでに獲得したアイバンス社の製薬事業プラットホームに自社開発の製品を乗せて大きな成長を目指す戦略を進めてきた」と説明。
 さらに「その結果としてベルカジアの上市やオムロンティの承認などのパイプラインが進展した一方で、これらの製品群で今後の成長を目指したリソースを投下する場合、今後数年での黒字化は困難である」との見通しを示した。
 その上で、「米州事業は、当面は赤字の解消に最優先に取り組み、しっかりと利益体質に生まれ変わらせることが参天製薬の中長期的な成長軌道の回復に重要である」との考えを強調した。
 ここ数年参天製薬では、米国事業以外にも様々なチャレンジに取り組んできたが、利益面での結果が出ていないのが現状だ。伊藤氏は、本年9月のCEO就任以来、参天製薬の最盛期の道筋を作る具体的なプラン作成を進めてきた。
 こうした中、打ち出されたのが、①収益性を改善する、②成長の柱を立てる、③最適なオペレーション・組織体制を構築する-の再成長に向けた3つの観点からの施策推進だ。
 ①について伊藤氏は、「これまで色々な業務の取り組み範囲を広げてきたが、その一方でコストを始めとする様々な面で十分な規律が行き届かなかった」と反省し、「投資見直し、コスト最適化、生産性向上、構造改革を着実に実行することで、足元の業績を回復させたい」と強調した。
 ②では、「アンメットニーズの大きさ」、「世の中のトレンド」、「参天としての強み」3つの視点で成長機会を評価し、再成長の道筋をつける。「今までに提供されていない重要な価値を如何に提供するかが大きなポイントになる」と指摘した 
 ③は、成果に直結するKPIを設定しモニタリングを徹底するとともに、戦略の実現に最適な組織体制を構築する。
 加えて、「投資見直し」、「コスト最適化」、「生産性向上」の収益性を改善する全社的な構造改革を推進し、米州事業を含め、2023年度までにコア営業利益で60~80億円、2025年度までに100~150億円の改善を目指す。
 

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