新指標「健康総合判定」で、からだの衰えを見える化 次世代ヘルスメーター「FRシリーズ」発売 タニタ

 健康総合企業のタニタは、11月1日から次世代ヘルスメーター「FRシリーズ」を発売する。
 FRシリーズは、心身の健康状態をはかることで、加齢によるからだの衰えをトータルで評価し、その改善をサポートすることを目的としたもので、筋力計「FR-100L」、体組成計「FR-200L」、歩数計「FR-300L」の3機種で構成。
 これらの機器で計測した生体情報や活動情報を基に、専用のアンドイドスマートフォン対応アプリ「TANITARING」で解析することで、からだの衰えを見える化する新指標「健康総合判定」を表示する。
 これまで体組成計で計測していた筋肉の量だけでなく、筋力や移動能力など日常生活に必要な運動機能を計測するとともに、疲労感などの精神・心理面や日常生活の活動性など社会面、その他栄養の状態などをアプリで総合評価。
 さらに、評価に合わせた具体的な栄養や運動に関するアドバイスと目標の提示により、シニア世代の健康づくりをサポートする。
 タニタオンラインショップ(https://shop.tanita.co.jp/)で3機種のセット販売となり、価格は11万円(税込)。10月18日より先行受け付けを開始している。70歳以上の高齢者とその子世代となる50-60代をターゲットに、初年度1000セットの販売を計画している。

 わが国は、2065年に人口の38%以上が65歳以上で、さらに75歳以上の割合も25%を上回る超・超高齢社会へと向かっている。高齢化が進む中で、平均寿命と健康寿命のかい離(女性が12.07歳、男性が8.73歳)や、医療費の増大が大きな社会課題となっている。
 その要因の1つとして注目されているのがフレイルで、「加齢により心身が衰え、弱った状態」を指し、要介護になるリスクを高める。人生100年時代といわれる今日、健康寿命を伸ばして充実した人生を歩んでいくには、身体の健康はもちろん、趣味や地域での活動といった社会的な関わりや精神・心理面での健康状態などを総合的に把握して維持することが必要である。
 だが、これまで加齢に伴う心身の衰えや社会的な活動の低下を総合的に評価し、改善を促す機器やサービスなかった。今回発売する「FRシリーズ」は、こうした社会背景を見据えて開発が行われた。
 歩数計「FR-300Ⅼ」は、タニタが新たに開発した「がんばり歩行」を提案する機能を搭載した。使用者の歩行速度の平均値から目標とする歩行速度と歩行時間の目安を提示する。無理のない範囲で強度の高い歩行ができ、体力の強化と維持につなげられる。
 体組成計「FR―200L」は、タニタが独自に開発した筋肉の状態を評価する指標「筋質点数」を計測表示。
 筋力計「FR-100L」は、両腕の筋肉量と握力を計測する。これら3機種で計測したデータは、専用アプリ「TANITARING」に集積することでシニアの健康を総合評価する。
 具体的には、筋力計「FR-100Ⅼ」で計測した上半身の筋肉量と体組成計「FR-200Ⅼ」のデータを統合して、「TANITARING」でタニタの家庭用商品で初めてSMI(骨格筋指数)を表示。
 また、アプリ上で、食事や生活習慣などに関する質問を行い、3機種で計測した結果と組み合わせることで身体的・精神的・社会的な健康状態を評価する「健康総合判定」を表示する。
 食事摂取・筋力・心身の疲労・身体機能・活動量の5カテゴリーごとに4段階で表示し、食事と運動について、改善に向けたアドバイスを行う。
 加齢に伴う身体的・精神的・社会的衰えは、複数の要素が多面的に絡み合い、負の連鎖を起こして進行する。コロナ禍においては、こうした衰えの若年化傾向も見られる。
 一方で、各要素のいずれかを改善に向かわせることで進行を食い止め、元の状態に戻すことができる「可逆性」があることが特徴で、心身の健康を総合的に捉え、アプローチしていくことが効果的であると考えられている。
 「FRシリーズ」では、計測結果の履歴が確認できるほか、毎日意識して取り組んでほしい目標提示や計測を促進するアラートを行うことで、健康習慣の継続を促し、健康維持と増進をサポートする。
 タニタは、1959年に家庭用体重計を「ヘルスメーター」として発売し、戦後から高度成長期の日本人の生活変化に寄り添い、体重を健康のバロメータとして、家庭での健康管理をサポートしてきた。1992年には、世界初の乗るだけではかれる体脂肪計を開発し、「肥満は体重ではなく脂肪が多いこと」という考えを浸透させて、人々の肥満へのアプローチを変えてきた。
 今回発売する「FRシリーズ」は、その時代ごとの健康に関する社会課題に取り組んできたタニタが提案する最先端のソリューションだ。今後、データを蓄積していくことで、よりパーソナライズ化した目標を出すなど進化させていく。
 その第1弾として、独立行政法人都市再生機構(UR都市機構)と連携し、東京都板橋区の高島平団地のUR賃貸住宅に住む高齢者を対象に、11月1日からFRシリーズの実証実験を行う。また、フレイル分野においては、東京大学高齢社会総合研究機構と共同研究に取り組み、新たな健康計測機器やサービスの開発を進めていく。
 このほか、誰もが社会との関わりをもてるコミュニティーの創出を目指し、弊社敷地内の「ふれあい広場」を使った実証実験を予定しているほか、タニタ食堂やタニタカフェのノウハウを生かした食事面のサポートも検討している。
 今後もタニタでは、人生100年時代をいきいきと過ごせるよう、心身の健康づくりをトータルでサポートすることで、生活者のライフスタイルや健康習慣、その先にある幸せづくりに寄与していく意向である。

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