イミフィンジ、トレメリムマブ、化学療法の併用療法 小細胞肺がんP3試験で持続的な延命効果示す アストラゼネカ

 アストラゼネカ28日は、ミフィンジ、トレメリムマブと化学療法との併用療法について、P3相POSEIDON試験の約4年間の追跡結果において、化学療法単独との比較でステージIVの転移性非小細胞肺がん(NSCLC)患者の一次治療として、全生存期間(OS)の持続的な延長を示したと発表した。
 さらに、探索的事後解析では、PD-L1陰性(腫瘍細胞におけるPD-L1発現が1%未満)の患者と同様に、STK11、KEAP1およびKRAS変異を有するNSCLC患者においても、引き続きこの併用療法による全生存期間の延長傾向が示された。
 同併用療法は、イミフィンジと4サイクルの化学療法にトレメリムマブを定められた回数のみ追加投与したもの。
 同試験の最新結果は、2022年9月に開催された、2022年欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で発表された。
 KRAS変異はNSCLCで最もよく見られる腫瘍増殖促進因子で、患者の約25%に発現する。
 また、STK11およびKEAP1変異を有するNSCLCは予後不良となることが多く、免疫原性の低い腫瘍(cold tumor)に分類される。KRAS変異を有するNSCLCは免疫治療薬が奏効する場合があるが、一方、特にSTK11またはKEAP1変異を同時に併せ持つ場合には、予後不良となることもある。
 同試験の最新結果では、イミフィンジと白金製剤ベースの化学療法にトレメリムマブを5サイクル追加投与した場合、化学療法単独と比較して死亡のリスクが25%減少した(ハザード比0.75、 95% 信頼区間 0.63-0.88)。
 また、全生存期間中央値は、化学療法単独群では11.7カ月であったのに対し、併用療法群で14カ月であった。なお、3年経過時点で生存していた患者の推定割合は、化学療法単独群では13.6%に対し、併用療法群では25%であった。
 OSの延長は、STK11、KEAP1、およびKRAS変異を有する転移性NSCLC患者さんに対し併用療法で治療した場合においてもその傾向が観察され、死亡リスクはそれぞれ38%(ハザード比0.62、95%信頼区間 0.34-1.12)、57%(ハザード比0.43、95%信頼区間0.16-1.25)、および45%(ハザード比0.55、95%信頼区間0.36-0.85)低減した。
 また、PD-L1発現率が1%未満の患者においても、同様に持続的な全生存期間の延長傾向が見られた。
 なお、これらのサブグループの探索的事後解析は、患者数が少ないため、慎重な解釈が必要となる。
 これまでのP3相POSEIDON試験結果と同様に、最新結果で示されたトレメリムマブをイミフィンジと化学療法に追加する併用治療におけるOSの延長は非扁平上皮NSCLCの組織型を有する患者においてより顕著であった。非扁平上皮NSCLCの組織型を有する患者では、化学療法単独と比較して死亡リスクの32%低減(ハザード比0.68、95%信頼区間0.55-0.85)が報告され、OS中央値は化学療法単独群では13.1カ月であったのに対し、併用療法群で17.2カ月であった。
 なお、3年経過時点で生存していた患者さんの推定割合は、化学療法単独群では17.3%に対し、併用療法群では31.4%であった。

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