参天製薬とUBE(本社:宇部市)は26日、OMLONTIについて、開放隅角緑内障・高眼圧症を対象とした眼圧下降を目的とする点眼薬として米国FDAにより承認されたと発表した。承認取得日は、現地時間9 月22 日。
OMLONTIは、緑内障・高眼圧症の治療を目的として、SantenとUBEが共同開発している点眼剤である。有効成分のオミデネパグ イソプロピルは、UBEにより合成された選択的EP2受容体アゴニストで、この作用機序では唯一の眼圧下降剤だ。
その眼圧下降作用機序は、EP2受容体刺激作用により、線維柱帯流出路およびぶどう膜強膜流出路を介した房水流出が促進されると考えられる。
日本では2018年11月より「エイベリス」の名称で販売し、アジアでは順次販売承認を申請しており、2021年2月以降、5か国・地域で販売している。
今回の承認は、世界各地で実施された12の臨床試験データに基づくもの。米国のP3相試験では、標準療法のひとつであるチモロールに対するOMLONTIの非劣性が示されている。
また、日本とアジアで実施された2つのP3相試験では、標準療法のひとつであるラタノプロストに対しても、OMLONTIの非劣性が示された。
緑内障は、視野欠損につながる視神経の損傷を引き起こし、多くの国において、視力低下や失明を含む視覚障がいの主な原因となっている。一般に進行性で非可逆性であるため、治療において、早期発見・早期治療によって進行をコントロールすることが不可欠で、眼圧を下げることが視神経の損傷を回避する有効な治療法である。
2020年の世界の緑内障患者数は7600万人で、2030 年までに9500万人に増加すると予測されている。開放隅角緑内障は、最も一般的な緑内障であり、高眼圧症は、治療しなければ緑内障や視力低下につながる可
能性がある。
◆ピーター・サルスティグ参天製薬チーフメディカルオフィサーのコメント
緑内障は、高齢化に伴って増加傾向にある。継続的に治療が必要な緑内障患者さんを支援することは、眼の疾患や不具合に起因する社会的・経済的損失の削減を目指す参天製薬にとって極めて重要である。
今回の承認は、眼科領域のアンメットニーズに取り組む参天製薬において重要なマイルストーンであり、“Happiness with Vision”を実現するという当社の目標を前進させるものである。この製品は、米国での参天製薬による初めての緑内障治療薬となり、300万人以上の米国の緑内障患者さんや、高眼圧症に罹患している方々、医療従事者に向け、新たな作用機序を有する治療選択肢を提供できることを大変嬉しく思う。
◆舩山陽一UBE上席執行役員医薬事業部長のコメント
当社は、アンメットニーズの高い疾患の治療に対して、より多くの治療選択肢を患者さんにご提供することを目指し、日々創薬研究に取り組んでいる。今回、アンメットニーズがいまだに残る緑内障において、オミデネパグ イソプロピル点眼液(OMLONTI)が日本・アジアに続いて米国でも承認が得られたことは非常に大きな喜びである。
本剤が、参天製薬を通じて緑内障・高眼圧症に罹患されているより多くの患者さんの新たな治療選択肢となることを大いに期待している。
◆Jason Bacharach North Bay Eye Associates, Inc. メディカル&リサーチディレクター(M.D.)のコメント
眼圧下降に重点を置いた治療は、緑内障や高眼圧症の症状の進行を遅らせる、またはそれらを防ぐ上で役立つ。緑内障では、全患者さんに同じ治療薬が効果をもたらすわけではなく、それぞれに合った治療薬を使用しなければならない。
OMLONTIの承認によって、失明の恐れがある患者さんを治療するための安全かつ有効な新たな選択肢が広がる。