塩野義製薬は3日、同社と島津製作所の合弁会社AdvanSentinelが新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のオミクロン株の亜種である「BA.2」からさらに派生した変異株「BA.2.75」の下水サンプルからの検出に成功したと発表した。
同検出は、AdvanSentinelが従来より共同で取り組んできた神奈川県での下水モニタリングを通じて行われたもの。
なお、神戸市では6月24日以降に採取した臨床検体より同変異株が国内で初めて検出されたと報道されているが、AdvanSentinelは6月14日に採水した下水サンプルより検出している。
SARS-CoV-2のオミクロン株の亜種である「BA.5」による感染拡大、いわゆる「第7波」が続く中、新たなオミクロン株の派生型である「BA.2.75」による感染が日本でも確認されている。
「BA.2.75」は「BA.2」と比べ、スパイクと呼ばれるウイルス表面の突起状たんぱく質に9カ所の新たな変異が存在し、WHOは動向を注視する監視対象の派生株に指定している。
AdvanSentinel社は、塩野義製薬と、社島津製作所により2022年1月に設立された合弁会社。AdvanSentinelでは、塩野義製薬と北海道大学が共同で開発した高感度の検出技術および次世代シークエンサーによる変異解析を組み合わせることで、これまでも公衆衛生上の課題となるSARS-CoV-2の変異株の早期検出を実現してきた。
今回の「BA.2.75」の検出成功により、同社の下水モニタリングサービスが、「BA.2.75」などの変異株を含むSARS-CoV-2の感染状況の早期把握に有効であることを改めて確認された。
AdvanSentinel社は、下水モニタリングを通じて、先ずは喫緊の課題であるSARS-CoV-2の早期検出ならびに感染状況の見える化を行うことで、人々の安心と適切な対策に寄与する情報を提供。加えて、社会に必要なインフラとして、次なるパンデミックや公衆衛生上のリスク把握に向けたオールジャパン体制の構築を目指していく。