武田薬品は19日、エームサービスと世界IBDデー(5月19日)に合わせ、医療系学生が考案した炎症性腸疾患(IBD)患者の夢の食べものである「IBDreamめし」を疾患啓発サイトで公開した。
また、両社はサイト公開に先立ち、レシピを披露するメディア向け試食会を13日に開催した。世界IBDデーは、毎年5月19日に設定されており、世界中で様々な疾患啓発のキャンペーンが行われている。
IBDは、一般的に「潰瘍性大腸炎」と「クローン病」の2つの疾患の総称で、腸管の粘膜に慢性の炎症を引き起こす。
IBD患者は、頻回の下痢や血便、腹痛、発熱、さらには全身の倦怠感、貧血などの症状が現れることがある。だが、これらは、日常生活の中で患者が有していたとしても周囲の人が気付きにくい症状だ。
武田薬品とエームサービスは、IBDの好発年齢層である10代~20代に着目し、IFMSA-Japan(国際医学生連盟 日本)、APS-Japan(日本薬学生連盟)、【N】(栄養学生団体)との共催で、学生を対象とした「IBDreamめし」を考案するワークショップを3月26日にオンラインで開催した。
ワークショップでは、疾患に関するレクチャーや参加者間でのディスカッションを通じて参加者にIBDを身近な問題として捉えて貰った上で、IBD患者のフードダイバーシティを実現するためのレシピを考案した。
レシピは「肉類」、「揚げ物」、「ご飯物」、「麺類」、「デザート」という各テーマが設定され、学生は材料や調理方法などはもちろん、見た目が映えるようにするにはどのような工夫が必要か、などの観点でレシピを考案した。
試食会イベントに参加した医師で、「炎症性腸疾患を患うおうちのクリニック中野」の石井洋介院長からは、「難病の社会全体の疾患認知率を上げるというのは一筋縄ではいかない。今回のような患者、未来の医療者、企業が関わるイベントは非常に貴重な機会である」、太田裕子北里大学病院栄養部管理栄養士は、「自分自身の病気の状態やその日の体調に応じた食事を摂っていただきたい。病気が落ち着いている状態を持続させるためにも、食事内容とともに生活リズムも整えてほしいと思う」とコメント。
イラストレーターで、クローン病患者のカメダ氏は、「いずれのレシピも本当に美味しく、驚いた。私は可能な限り脂質がどの程度含まれているか確認しながら自分の食事を決めている。今回のようなレシピを提供いただけるのはとてもいい機会である」と語っている。
レシピは、特設WEBサイト内で確認、ダウンロードできる。なお、同レシピは、実臨床でIBD患者により近い場所で接している管理栄養士の観点から、太田裕子氏が監修している。
また、武田薬品は、世界IBDデーにおける社内イベントとして、IBD患者に貢献するために何ができるのかを考える機会とし、今後の活動の決意表明をとして写真に納め、その写真でモザイクアートを作成した。 今後も同社は、IBD 疾患への理解が社会で進むよう、社会を構成するさまざまなステークホルダーと共に、IBD 患者にとって最適な社会づくりを目指していく。