塩野義製薬は16日、新規抗真菌薬olorofimについて、F2G社(本社:イギリス)との間で、欧州、アジア地域での開発および独占的な販売に関する契約を締結したと発表した。
Olorofimの対象疾患である侵襲性アスペルギルス症は、主に造血幹細胞移植、癌化学療法、重症感染症等、免疫系の機能低下時に生じる致死率の高い真菌感染症である。
その治療の第一選択薬として、アゾール系抗真菌薬が用いられるが、アゾール系抗真菌薬が投与不可あるいは効果不十分な場合の治療選択肢が限られていることが課題となっている。
Olorofimは、既存の抗真菌薬とは異なる新規の作用機序を有する経口薬で、真菌の生育に必須なピリミジン合成経路の阻害により殺真菌活性を示す。
Olorofimは、その新規作用機序から既存治療薬に抵抗性のある、または忍容性や薬物相互作用等の理由で既存治療薬が使用できない侵襲性アスペルギルス症患者に対する新しい治療選択肢として期待されている。
今回の契約締結により、塩野義製薬はolorofimに関する欧州、アジア地域の開発および独占的販売権を獲得する。また、同社は、契約締結に伴う一時金として1万ドル、今後の開発進展や製品上市後の販売額に応じたマイルストンを最大で合計3万8000ドル、ならびに販売額に応じて二桁台のロイヤリティーをF2G社に支払う。
現在、F2G社は、アゾール系治療薬に抵抗性の、または使用できない侵襲性アスペルギルス症患者に対するグローバルP3試験を準備中。両社は、今後、同P 3試験を含めた開発プログラムを共同で進めていく。
同社は、F2G社との提携を通じて、生命を脅かす侵襲性真菌感染症から人々の健康を守るために必要な治療薬を患者にいち早く届けられるよう、同薬剤の開発に注力していく。
なお、同件が2023年3月期の業績に与える影響は、現時点では軽微と予測している。