フォシーガ P3試験で慢性心不全の心血管死または心不全悪化を抑制 アストラゼネカ

 アストラゼネカは12日、フォシーガについて、P3相DELIVER試験および DAPA-HF試験において、主要複合評価項目である心血管(CV)死または心不全(HF)悪化の抑制を達成したと発表した。
 同試験は、駆出率が軽度低下した、または保持された心不全患者(左室駆出率が 40%超と定義)を対象に実施されたもの。
 心不全は慢性かつ長期的な疾患であり、時間の経過とともに悪化する。全世界で約6400万人が罹患しており、高い罹患率と死亡率を伴う。
 駆出率(EF)は、心臓が収縮するごとに送り出される血液量の割合の測定値である。心不全は、駆出率低下を伴う心不全(HFrEF)(左室駆出率が 40%以下)、駆出率が軽度低下した心不全(HFmrEF)(左室駆出率が 41%~49%)、および駆出率が保持された心不全(HFpEF)(左室駆出率が 50%以上)といった複数の主要カテゴリーに分類される。
 駆出率が軽度低下し、または保持されているのは心不全の患者全体の約半数を占めているが、この分類に該当する患者では治療可能な選択肢がないのが現状だ。
 フォシーガは、2 型糖尿病、1 型糖尿病、慢性心不全、および慢性腎臓病の治療を適応として、既に承認を取得している。
 同試験におけるフォシーガの安全性および忍容性プロファイルは、これまでに十分に確立されているフォシーガの安全性プロファイルと一致した。
 同試験の詳細結果は、今後開催される学術集会で発表される。また、今後数カ月以内に規制当局へ承認申請される予定である。

◆Scott Solomonハーバード大学医学部およびブリガム・アンド・ウィメンズ病院内科学教授、P3相DELIVER試験主任治験責任医師のコメント
 治療の選択肢がほとんどない対象患者さんの集団で主要評価項目を達成できたことに、私たちは大きな喜びを感じている。DELIVER 試験は、駆出率が軽度低下した、または保持された心不全を対象に現在まで実施された試験の中で、最大規模かつ最も幅広い患者さんを対象とした試験である。
 DELIVER試験の結果によって、フォシーガのベネフィットをお届けできる範囲があらゆる種類の心不全患者さんまで広がった。

◆Mene Pangalosアストラゼネカバイオファーマ研究開発部門担当エグゼクティブバイスプレジデントのコメント
 今回の結果は、DAPA-HF 試験の結果とともに、フォシーガは駆出率にかかわらず心不全の治療に有効であることを示している。
 これらのデータは、糖尿病、慢性腎臓病または慢性心不全のいずれかを有する患者さん全体でフォシーガに心腎保護作用が認められた私たちの過去の研究に基づくものである。

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