経口新型コロナ治療薬の調剤にしっかり対応 大阪府薬乾会長

乾氏

 大阪府薬剤師会は14日、定例記者会見を開催し、乾英夫大阪府薬会長が経口新型コロナ治療薬「ラゲブリオ」について、「現在、限られた薬局で供給しているが、大阪府薬ではしっかり対応できるように周知徹底している」と強調。さらに、「2月11日から13日までの3連休中は、大阪府からの依頼を受けて、一定の患者数を切りまわせるラゲブリオの剤数を確保し、会営中央薬局での対応にも尽力した」と報告した。
 10日に厚労省から特例承認されたファイザーの経口新型コロナ治療薬「パキロビッド」についても、「薬局への供給体制は行政で協議して近日中に発表される」とした上で、「降圧剤などとの相互作用や腎機能など投与上の留意点が多いが、通常の業務でしっかりと対応できる」との考えを示した。
 乾氏は、2月9日に示された令和4年度の診療報酬改定方針にも言及し、「リフィル処方箋など新しく点数が付いた項目は、今後、しっかりと中身を検討して行かねばならない」と指摘。
 その上で「今回の改定内容は、2025年の地域包括ケアに向けた医療体制の整備に向けて、患者のための薬局ビジョンを実現するための施策が強く出ている。物から人へ、地域医療へとシフトして行かなければ、薬局経営は苦しくなる」と訴えかけた。
 大阪府から依頼されたラゲブリオの3連休中の会営中央薬局での対応は、連休中の同薬剤供給体制において地域の薬局で対応できないケースに備えたもの。
 通常、ラゲブリオの調剤に対応して薬局では3人分の在庫を確保しているが、連休中は追加注文しても翌日配送ができない。こうした理由から会営中央薬局では、「一定の患者数を切りまわせるラゲブリオの剤数を確保して、複数名の患者に対応した」(乾氏)。

道明氏


 ラゲブリオに続く2剤目の経口新型コロナ治療薬となった「パキロビッド」は、降圧剤や不眠症治療薬等との相互作用や腎機能の確認など、投与上の注意事項が少なくない。
 これに対して道明雅代副会長は、「保険薬局の通常の調剤業務では、併用薬の確認や、腎機能・肝機能に関しての聞き取りをきちんと行っている」と明言。
 加えて、「パキロビッドの方がラゲブリオに比べて電話での確認事項が多いものの、通常の調剤業務でしっかりと対応できる。保険薬局で患者さんから得た情報は、医師にも適宜フィードバックしていく」考えを強調した。
 リフィル処方箋については乾氏が、「分割調剤は前から行ってきたが、今回、診療報酬の中に‟リフィル処方箋”の名前が明記された」と薬剤師職能としての重要性を力説。
 その上で、「原則的な管理も含めて、如何に患者さんに評価して貰えるかに留意して、しっかりと対応できるように、現在、大阪府薬としての支援策を検討している」と報告した。
 定例記者会見では、ここ2年間コロナ禍のために開催できなかった「大阪府薬未来を担う薬剤師フォーラム」についても言及。5月22日に「未来をつくる薬剤師力~コロナ禍を経験して~」をメインテーマにWeb形式で開催することを明らにした。
 当日は、ウォルグリーンズ社スペシャルティー薬局薬局長の大野真理子氏が、「米国での薬剤師としての経験」をテーマに講演する。
 乾会長は、「日本よりも人口比当たりの医師数、薬剤師数が少なく、電子処方箋、リフィル処方箋は当たり前の米国における医療現場の実情を是非聞いて頂きたい」と参加を呼びかけた。
 また、7月の参議院選挙に日薬連盟組織内統一候補として立候補する神谷まさゆき氏の周知徹底を目的に、山本信夫日薬会長、神谷候補、藤井基之参議院らを講師とした「連盟関連講演」も実施する。


    

タイトルとURLをコピーしました