経口新型コロナ治療薬 P2aの好結果をP2bで確認後、来週または再来週に国内申請 塩野義製薬手代木社長

あいさつする手代木氏

 塩野義製薬は7日、東京都内で経口新型コロナス治療薬「S-217622」の試験結果速報に関する説明会を開催し、手代木功社長が「P2/3試験のP2aパートで得られた良好な結果をP2bパートで確認すれば、来週または再来週に国内申請する」スケジュールを公表。その上で、「新型コロナの対する非常に良い薬剤になる可能性が高い」と訴えかけた。
 手代木氏は、S-217622の特徴にも言及し、①1日1回投与で服薬コンプライアンスが高い、②海外の新型コロナ治療薬に比べて日本人の安全性情報が多い、③国内で3月までに100万人分の提供が可能、④投与後には全例登録・全例調査を行って注意深く安全性についてフォローするーの4点を挙げた。
 予定通りに69症例の集積を完了したP2aパート試験は、軽症/中等症および無症候/軽度症状のみの新型コロナ感染者を対象とした多施設共同、プラセボ対照、二重盲検、並行群間比較試験で、1日1回、5日間経口投与し、28日間フォローアップを行って有効性・安全性が検討された。ワクチン接種している人、していない人など、様々な人にS-217622を投与し、「感染性を有する新型コロナウイルスを如何に早く消失させるか」を主要評価項目としている。
 ITT集団は、治験薬に無作為に割付けられ、かつ新型コロナウイルスの感染が確認された全被験者登録症例69例から、ベースラインでPCR陰性の症例22例を除く47例である。47例の内訳は、低用量N=16、高用量群N=14、プラセボ群N=17。
  P2a 試験の結果、S-217622投与により、速やかにウイルス力価およびウイルスRNA量が減少し、プラセボと比較して有意に優れた抗ウイルス効果を示した。4 日目(3回投与後)には、ウイルス力価陽性患者割合をプラセボ群と比較して約60~80%減少、ウイルス力価が陰性になるまでの時間の中央値を、プラセボに対して2日短縮した。
  臨床症状に及ぼす影響では、S-217622投与により、新型コロナ感染症に特徴的な臨床症状の改善傾向が確認された。プラセボ群における重症化症例は2例存在したが、S-217622投与群ではいずれの群においても認められなかった。
 安全性については、高度、重篤ならびに治験中止の原因となる有害事象は見られなかった。ほぼ全ての有害事象は軽度であり、副作用も全て軽度であった。
 手代木氏はこれらのP2aパートの結果について、「非常に良い手応えを得ている」と高評価した。その上で、「400例を超えるP2bパートの集積は、2月7日または8日に完了する。このデータを基に、抗ウイルス効果、臨床効果、安全性評価を行い、P2aパートと同様の結果が得られれば、来週または再来週に国内申請する」スケジュールを示した。加えて、軽症/中等症は、2月9日よりP3試験に移行する。グローバルP3試験は、P2a、P2b試験の結果を踏まえてスタートする。
 また、P2bパートのデータで条件付早期承認を得られた場合、「投与した患者全ての安全性情報を把握し、厳格な市販後体制を取っていく」考えを強調した。一方、S-217622の提供体制は、「3月までに100万人分を完了し、4月以降は1000万人分以上/年の生産を予定している」
 手代木氏はS-217622の承認申請における当局の対応にも言及し、「新型コロナ治療薬に関しては、安全性・有効性には妥協しないものの、国民が待ち望んでいる国産の治療薬に対して非常に前向きに検討して頂いており、深く感謝している」と述べた。
 S-217622価格については、「政府購入価格と最終的に保険収載する薬価とは分けて考えている」と断言。その上で、「現時点で政府購入価格は、他社の新型コロナ薬と同程度が妥当だと思う。最終的な価格は、インフルエンザ薬よりも少し上の価格で供給するのが望ましいのではないか」と話した。
 

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