塩野義製薬は17日、開発中の新型コロナワクチン「S-268019」について、国内でP3相中和抗体価比較試験を開始したと発表した。
新型コロナワクチンの開発では、発症予防効果の検証を目的とした大規模な臨床試験が実施されてきた。だが、同試験は、既に有効なワクチンが流通し、接種が進む中で実施が困難になってきている。
その一方で、世界では、ワクチンの供給量は十分ではなく、安全で有効な新規ワクチンの開発が必要とされている。
こうした中、薬事規制当局国際連携組織(ICMRA)での議論を経て、ワクチン接種後の中和抗体価を発症予防効果の代替指標として、既承認ワクチンと比較することで、新規ワクチンの評価を行う中和抗体価比較試験が認められてきている。
今回、同社が開始した中和抗体価比較試験は、成人および高齢者を対象にS-268019または対照薬の2回目接種から28日後の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対する中和抗体価について比較検証するもの(jRCT:2051210151)。
今後、国内での承認申請に向けては、同試験を含む現在実施中の臨床試験の進捗ならびに結果に基づき、厚労省や医薬品医療機器総合機構(PMDA)等と継続した協議を行っていく。
なお、同件が2022年3月期の連結業績予想に与える影響に関しては、今後、状況に応じて精査する。