一年を振り返りWithコロナ対応によるWeb環境整備の利点を強調  大阪府薬乾会長

後発品を中心とした医薬品不足は解決の目途立たず

乾氏

 大阪府薬剤師会は20日、定例記者会見を開催し、乾英夫会長が一年を振り返って、「Withコロナ対応によるWebによる研修会開催の利点」を指摘した。また、後発品を中心とした医薬品不足は「未だ解決の目途は立っていない」と述べ、困惑の表情を浮かべた。
 乾氏は、2021年を「コロナ対応の一年であった」との認識を示し、「Withコロナの中で、Web環境整備による研修会の開催は、デメリットがあるもののそのメリットは大きい。これまでのリアル研修会では、府薬会館の大・中・ホールを全て使用しても300人程度の収容人員であったが、Web研修では1000名まで受講できる環境が整備できた。」と力説。
 その上で、「決められたWab活用をすれば、薬剤師生涯研修の点数も付けられるため、地域薬剤師会もそれに習ってWeb研修会の導入を進めている」と述べ、「来年は、地域連携薬局・専門医療機関連携薬局に関する研修会等へのWeb研修活用などを実施して、アフターコロナの中で薬剤師職能を果たせるような施策を進めて行きたい」と抱負を述べた。
 一方、後発品を中心とした医薬品不足については、「一昨年の小林化工の不祥事から端を発した後発品を中心とする医薬品不足は、先発品まで影響を受けており、医療現場では苦労しながら何とか供給を行っている」とその現状を説明。
 その上で、「大阪府薬では、薬局会員を対象に医薬品の流通状況アンケートを実施し、その結果を国、大阪府、医師会、歯科医医師会などに報告した。12月になって、一般マスコミにも品薄状態を取りあげられるようになったが、解決の目途は立っていない」と眉をひそめた。
 現在、不祥事で業務停止処分を受けた小林化工(本年2月)、日医工(同3月)、長生堂薬品(同10月)による出荷停止や供給遅延で、合計641品目の供給不足が発生。加えて、得意先等への供給優先のために、在庫があっても注文を断る「出荷調整」が加味して、医療現場は慢性的な大きな品薄状態となっている。
 大阪府薬では、25日に大阪府からの委託事業として「後発医薬品に関する研修会」を開催して関係者を集め、現状と課題、解決策について協議する。
 その他、定例記者会見では、ここ数年赤字経営が続いている会営南河内薬局の譲渡決定も報告された。11月11日開催の理事会で決定したもの。
 乾氏は、「30年間に渡って、国立大阪南病院の院外処方箋発行の受け皿となって地域医療に貢献してきた会営南河内は、一定の役割を終えたと考えている」と明言。
 さらに「薬局内の無菌室の共同利用の継続などを条件に、11月22日から12月8日まで、大阪府薬会員を対象に譲渡希望者を募った。今後の方針は、23日の理事会で決定する」と述べるに留めた。
 乾会長が選んだ2021年大阪府薬“重大ニュース”は、次の通り。

(1) 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)変異株の世界的流行と薬局・薬剤師によるその対応(①大阪府はじめ各自治体でのワクチンの調整、予診前確認等によるワクチン集団接種、大規模接種事業への参画。②自宅療養・宿泊療養患者に対する医薬品の供給、調剤及び配送の実施。③医療用抗原定性検査キットの薬局での販売開始。④検査無料化事業への薬局の参画⑤薬剤師のための予防接種に係る研修会の開催)

(2) 改正薬機法等施行(①地域連携薬局・専門医療機関連携薬局、薬局の機能に関する認定制度の創設②薬局における法令順守体制の整備③添付文書の電子化)

(3) 後発医薬品等安定供給の綻びによる薬局業務の逼迫、流通及び対応状況の調査の実施、報告書の国及び関係団体への提出

(4) 中間年(毎年)薬価改定の実施

(5) オンライン資格確認の本格開始

(6) 薬と健康の週間における府民の集いや新年互例会等大規模行事の中止や縮小。

(7) 会館内回線環境やICT機器整備による会議や研修会等の完全WEBやハイブリッドによる開催

(8) 大阪府市長会・町村長会において「学校薬剤師の活動」について説明

(9) 大阪府における宿泊療養に対する府薬会営中央薬局・応需薬局の協力体制整備

(10)大阪府医師会との連携による感染拡大防止のための新型コロナウイルス感染(疑い)等患者の処方箋形式による調剤の実施とその対応に関する調査の実施

※番外 第49回衆議院総選挙において渡嘉敷奈緒美氏落選

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