武田薬品は6日、TAKHZYROについて、注射剤の安全性および有効性を支持する最終の最長期間遺伝性血管性浮腫試験で好結果を得たと発表した。
P3相HELP(遺伝性血管性浮腫の長期抑制)試験の非盲検延長(OLE)試験で、TAKHZYRO300mgを2週間に1回投与した最長2.5年にわたる長期安全性(主要評価項目)および有効性が示されたもの。
平均約2.5年(29.6ヵ月、標準偏差8.2ヵ月)の治療を受けた12歳以上の患者さんにおいて、TAKHZYROの予防的治療により遺伝性血管性浮腫(HAE)の発作頻度が顕著に低下した。
同結果は、今月の雑誌「Allergy」オンライン版に掲載された。
同試験の副次評価項目において、試験対象群(N=209)におけるHAEの発症率の平均値(最小; 最大)はベースラインと比較して全体で87.4%(-100; 852.8)低下し、急性期治療を要する発作(N=106)は93.4%(-100; -52.8)低下した。
また、中等度又は重度の発作の発生率も低下しました(84.3%)(N=209)。TAKHZYRO 300 mgを2週間に1回投与した患者において、投与期間中の平均97.7%(標準偏差6.0%)で無発作状態によりHAEによる負荷が減少した。無発作期間は平均14.8ヵ月であり、10名中約7名(68.9%)の患者において無発作期間が12ヵ月を超えた(N=209)。
治療に関連して発現した有害事象は、患者の54.7%(N=116)で報告され、最も多かったものは注射部位反応であり、重篤な副作用の報告はなかった。
QOLの評価は、患者報告型の評価方法として有効な血管性浮腫の生活の質に関する質問票(Angioedema Quality of Life Questionnaire : AE-QoL)を使用した。ロールオーバー、非ロールオーバー共に、AE-QoL総スコアで臨床的に有益であると解釈できる最小の変化値を達成し、ベースラインからの総スコアの平均変化は、ロールオーバー、非ロールオーバーはそれぞれ-10.2(17.9)、-19.5(21.3)であった。
AE-QoLスコアの改善のほとんどは、プラトーに達する前の観察期間早期(0日目から56日目まで)に認められ、その後の来院中もスコアはおおむね維持された。
P3相試験である最初のHELP試験は、12歳以上のHAE患者125名を対象として26週間以上にわたって実施されたこれまでで最大規模かつ最長期間の実薬投与を行った無作為化対照比較抑制試験である。
HELP OLE試験のデザインは、最長で2.5年間TAKHZYROの長期安全性(主要評価項目)および有効性を評価するものだ。
最終結果は、2016年5月から2019年10月の期間に収集したデータに基づいており、最初のHELP試験で被験者として評価され、長期試験に移行した109名の患者(長期試験移行群)と、最初の試験には参加しなかったものの12週間に少なくとも1回の発作を発現し試験の適格性を満たした103名の患者(新規投与群)を解析対象としている。
1HELP OLE試験の最終結果により、TAKHZYROの安全性プロファイルが最初のHELP試験の知見と一致していることが示された。
治療に関連する治験薬投与下において発現した有害事象(TEAE)は、患者の54.7%(N=116)に発現し、最も多く認められたのは注射部位疼痛、上気道感染、および頭痛であった。
◆HELP試験責任者のAleena Banerji氏(ハーバードメディカルスクールマサチューセッツ総合病院リウマチ・アレルギー・免疫学科)のコメント
臨床エビデンスに裏付けられた効果的な予防は、この生涯にわたる疾患の患者さんを治療する医療従事者にとって極めて重要である。
長期間発作のない状態で生活ができれば、この慢性的かつ予測不能な疾患とともに生きる人々にとってさらなる安心感をもたらす可能性がある。
◆武田薬品ヴァイス・プレジデントでHAE・移植領域グローバル・メディカル・ヘッドのニール・インハーバー氏のコメント
本試験は、HAE発作の減少が証明されている長期予防治療を望む12歳以上のHAE患者さんにおいて、その治療選択肢としてTAKHZYROの使用を支持するものだ。
当社は、10年以上にわたり、HAEポートフォリオ全体を通してこの希少疾患を持つ患者さんを支援してきた。患者さんが無発作状態を維持でき、効果的な治療選択肢を提供できるように取り組んでいる。
このHAEへの私たちの努力の積み重ねが患者さんを勇気づけ、患者さんが自信を持ってHAEをコントロールしながら生活を送ることができるよう貢献できることを願っている。