アッヴィ合同会社は20日、オンライン社長会見を開催し、ジェームス・フェリシアーノ社長が、2020 年の日本の業績と、新5カ年計画「Road to the Best」(2021~2025)を公表した。
フェリシアーノ社長は「Road to the Bestでは、事業戦略として、前5カ年計画で目標とした“働きがいの追求”、“ビジネスの成功”に、新たに“社会とのつながり”を追加し、これら3本柱に最優先で取り組むことでベストカンパニーと成り、二桁成長を目指したい」と力強く宣言した。
2020年の売上高は 1137 億円(日本法人決算)。前年比9%減ではあるものの、2018年から3年連続1000億円超を達成した。
2020年の減収は、C型肝炎の市場の縮小が売り上げ減への要因として挙げられるものの、コロナ下にあって、ヒュミラ(ヒト型抗ヒトTNFαモノクローナル抗体製剤、関節リウマチなど12適応症)の適応拡大、リンヴォックJAK阻害剤、関節リウマチ)の発売、その他の主要製品の成長が売り上げに寄与した。
また、前5カ年計画の開始年である 2016年比では、36%増となった。この5年間において、5つの新製品を上市し、適応等の追加の承認は 14 あった。開発品目数は 2020年には 2016 年比で 282%増(11 vs 42)、臨床試験数は 155%増(29
vs 74)を達成。社員数も2016年比で34%増となり、現在は1300 人超を数える。
フェリシアーノ氏は、「前5カ年計画により急成長し、2013年の事業開始から 2020年までの7年間の年平均成長率約10%の二桁成長を達成した」と強調した。
2021年からは、「2025年までに“ベストカンパニー”になる」を目標に掲げた新5カ年計画「Road to the Best」がスタートした。フェリシアーノ氏2021年の目標として、①ポートフォリオ全体でイミュノロジーでのリーダーシップ②血液がんでのリーダーシップ③マヴィレットでのC型肝炎撲滅への貢献④神経疾患におけるデュオドーパの成長⑤新たな治療の選択肢をいち早く日本患者に届けるため迅速な開発ーを挙げた。
ポートフォリオ全体でイミュノロジーにおけるリーダーシップでは、「ヒュミラのリーダーシップの堅持」、「投薬期間制限解除後のリンヴォックの成長」、「スキリージの乾癬市場におけるプレゼンスの上昇」を達成する。
ヒュミラは、「バイオシミラーが参入するが、12の適応症と、10年を超える長い臨床実績で、今後もより多くの患者に役立てるように注力する」と明言。リンヴォックは、「今年5月に2週間の投薬期限の上限が解除され、アトピー性皮膚炎の適応追加でさらなる成長を目指す」と力説した。
がん領域では、「血液がんのアンメットニーズに応えるため、ベネクレクスタが、CLLに加えて今年3月にはAMLの適応が追加された」
新たな治療の選択肢の日本の患者へのいち早い送達については、「透明性と予見性のある薬価制度、国際的に競争力のある研究開発と創薬基盤技術の確立、イノベーションの評価システムが不可欠になる」と断言し、「微力ながら、ファーマの委員長として国に働き掛けたい」と明言した。
一方、西庄功一開発本部長は、今後の開発方針やパイプラインアップデートについて言及した。開発方針では、「アンメットニーズに応えるべく、迅速な開発を行い、いちはやく革新的な医薬品を日本の患者さんに提供していく」と明言。
さらに、「グローバルと同時の迅速な開発を行い、日本のアンメットニーズに基づく開発や希少疾患や小児適応症にも取り組む」考えを示した。