武田薬品は23日、国内でチロシンキナーゼ阻害剤の非小細胞肺がん治療薬「アルンブリグ」の発売を開始したと発表した。対象疾患は、ALK 融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌を適応とする一次および二次以降の治療。
同剤は、ALKチロシンキナーゼ阻害剤治療後に増悪したALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌(Non-Small Cell Lung Cancer、NSCLC)患者72例を対象とした国内P2相試験 Brigatinib-2001 (J-ALTA)および ALKチロシンキナーゼ阻害剤による治療歴のないALK陽性の切除不能な進行・再発の NSCLC 患者を対象とした海外P3相試験 AP26113-13-301(ALTA-1L)の結果を基に、昨年2月に厚労省に製造販売承認申請を行い、本年1月22日に製造販売承認を取得した。
WHOによれば、NSCLC は、肺がんの中でも最も一般的ながんであり、世界中で毎年新規に肺がんと診断される患者180万人のうちの約85%を占める。
遺伝学的研究により、未分化リンパ腫キナーゼにおける染色体の転座が、一部のNSCLC患者において重要な因子であることが示されている。転移性 NSCLC 患者のうち約3~5%でALK遺伝子に転座がみられる。
武田薬品は、全世界で毎年、この重篤でかつ希少な肺がんと診断される約4万人の患者のQOLを改善するため、NSCLC に対する研究開発の継続に力を注いでいる。
こうした中、開発されたアルンブリグは、化学構造に基づきALKを選択的に阻害するよう設計された次世代チロシンキナーゼ阻害剤だ。ALK チロシンキナーゼ阻害剤による治療歴のないALK陽性の切除不能な進行・再発の NSCLCを対象とした単剤療法の治療薬として、米国、欧州連合(EU)を含む 30 以上の国または地域で承認されている。
また、同剤は、クリゾチニブ治療後に進行または不耐容となったALK陽性NSCLC患者に対して、50以上の国または地域で承認されている。
◆堀井貴史武田薬品日本オンコロジー事業部長のコメント
近年、すぐれた検査方法や治療剤の登場により、ALK陽性NSCLCの予後は大きく改善している。だが、既存治療剤に対する抵抗性や不耐容など、個々の患者における有効性には依然として課題があるため、新たな治療選択肢が待ち望まれている。
本剤は、海外では既に多くの国や地域で承認されており、今回、日本においては治療歴の有無に関わら ず、一次および二次以降の治療剤として幅広くALK 陽性NSCLC患者にお届けできることを非常に嬉しく思う。