ワクチン接種優先対象の「基礎疾患保有者」は全国で1330万人
IQVIAジャパン グループは、日本国内における新型コロナワクチンの接種順位で、「医療従事者」「高齢者」の次に対象となる「高齢者以外の基礎疾患保有者」の都道府県別推計値を公表した。同推計では、日本全体で約1330万人の対象者が存在する可能性が明らかとなった。また疾患別では高血圧、糖尿病、喘息の順に対象者数が多く、これらの疾患だけで約900万人の対象者が存在する可能性があることも分った。
これらの数値は、IQVIAが保有する匿名加工されたレセプトデータ等から、都道府県別の推計人数を析出したもの。今回の推計は、レセプトデータをはじめ、患者が特定されない匿名化されたデータのみを使用している。
IQVIAでは、これまで半世紀以上にわたり、網羅性の高い国内外医療用医薬品市場データをはじめ、匿名化された実診療データを集積・分析することで、ヘルスケア産業並びに医療の進展への貢献に尽力してきた。
今回、極めて効率的な運用体制が求められる新型コロナワクチン接種計画立案に寄与することを目的に、同社が保有するデータや事業活動を通じて培った分析及び専門性を適用し、「高齢者以外で基礎疾患を有する人」を推計人数として算出している。
IQVIAが分析したり都道府県別の「高齢者以外で基礎疾患を有する人」の推計人数 (単位: 千人)は、次の通り。
◆北海道678◆ 青森151◆岩手133◆宮城243◆秋田127◆山形112◆福島204◆茨城290◆栃木206◆群馬190◆新潟233◆山梨81◆長野216◆埼玉629◆千葉 575◆神奈川852◆東京1542◆静岡 377◆愛知755◆ 岐阜203◆三重173◆富山114◆石川130◆福井85◆滋賀132◆京都286◆ 兵庫573◆奈良152◆和歌山108◆大阪1007◆鳥取63◆島根76◆岡山212◆広島315◆山口156◆徳島90◆香川113◆愛媛160◆高知87◆福岡548◆佐賀79◆長崎151◆熊本185◆大分129◆宮崎115 ◆鹿児島171◆沖縄125
市区町村レベルの推計人数データについては、自治体関係者を対象に、個別協議の上提供する。同窓口の市区町村レベルの推計人数算出問い合わせは、IQVIAソリューションズ ジャパン担当栗原氏（メールmichiaki.kurihara@iqvia.com、電話080-9355-3743）まで。
なお、同算出結果は、対象者となる病気や状態の具体的な定義方法、日本全体への拡大比率や都道府県別の比率等について、複数のデータをもとに一定の仮定をおいた上で計算したものであり、あくまでも推計値となる。
厚生労働省の資料に基づく、基礎疾患を有する人の定義は、以下の通り。
（１）次の病気や状態の人で、通院/入院している人
１．慢性の呼吸器の病気
２．慢性の心臓病（高血圧を含む。）
３．慢性の腎臓病
４．慢性の肝臓病（肝硬変等）
５．インスリンや飲み薬で治療中の糖尿病又は他の病気を併発している糖尿病
６．血液の病気（ただし、鉄欠乏性貧血を除く。）
７．免疫の機能が低下する病気（治療中の悪性腫瘍を含む。）
８．ステロイドなど、免疫の機能を低下させる治療を受けている
９．免疫の異常に伴う神経疾患や神経筋疾患
10．神経疾患や神経筋疾患が原因で身体の機能が衰えた状態（呼吸障害等）
11．染色体異常
12．重症心身障害（重度の肢体不自由と重度の知的障害が重複した状態）
13．睡眠時無呼吸症候群
（２） 基準（BMI 30以上）を満たす肥満の人
（３） 重い精神疾患や知的障害がある人
推計に使用したデータと手法
（１）については、IQVIAジャパン グループが保有する匿名加工された全国309万人のレセプトデータ等をもとに、2019年12月から2020年11月までの1年間において、対象となる病気や状態について現在治療中と考えられる16歳から64歳迄の対象者数を推計した。なお、複数の疾患を併発している場合には重複分を除外した。
（２）については、国民健康・栄養調査をもとに、16歳から64歳迄の対象者数を推計した。また、上述のレセプトデータを用いて肥満症の治療中と考えられる方の他疾患との併発状況をもとに、他の疾患等を併発している場合の重複分を除外した。
（３）については、精神障害者保健福祉手帳又は療育手帳を保有されている方の内、16歳から64歳までの対象者数を推計した。
また、上述のレセプトデータを用いて対象となる主たる精神疾患等の治療中と考えられる方の他疾患との併発状況をもとに、他の疾患等を併発している場合の重複分を除外した。
