新型コロナ感染症抗体医薬の臨床試験を日本で開始 アストラゼネカ

アストラゼネカは3月31日、開発中の新型コロナウイルス感染症の抗体医薬候補「AZD7442」の国際共同P3試験(TACKLE試験)およびP1試験を日本国内で3月に開始したと発表した。
 米ヴァンダービルト大学が発見し、2020年6月にアストラゼネカが独占的にライセンスを受けたAZD7442は、新型コロナウイルス感染症の予防・治療を適応として開発段階にあり、2020年11月に予防を適応として安全性と有効性を確認する国際共同P3試験(PROVENT試験、STORM-CHASER試験)を、本1年1月には治療を適応として安全性と有効性を確認する国際共同P3試験(TACKLE試験)を開始している。
 アストラゼネカは、日本において、治療を適応としたTACKLE試験を開始した。このTACKLE試験は、米国、英国、ドイツなどでも実施しており、全体で18歳以上の男女1700例の登録を目標としている。
 また、同社は、AZD7442の日本人における安全性や忍容性を評価するP1試験も、健康な18歳以上55歳以下の男女32名を対象に開始している。
 AZD7442は、SARS-CoV-2ウイルスに感染し回復した患者が持つ2種類の抗体を模倣しており、設計の際にアストラゼネカ独自の半減期延長技術を適用することで、1回の接種後6~12カ月間治療効果の持続が期待される長時間作用型抗体(Long-Acting AntiBody、通称「LAAB(ラーブ)」)である。筋肉注射によって投与され、SARS-CoV-2ウイルスに感染した患者の発症や重症化の予防に加え、ウイルスにさらされる前に予防する効果も期待されている。
 また、ワクチンの接種が適さないと判断される人々や、追加保護が必要とされる高リスク集団の予防薬として、ワクチンを補完する可能性がある。
 アストラゼネカは、規制当局よりAZD7442の承認が得られた際に、日本に抗体医薬を提供することで昨年末より日本政府と交渉を開始している。

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