塩野義製薬は26日、グラクソスミスクライン(GSK)およびファイザーとともに資本参加しているヴィーブ社が、長期作用型注射2剤レジメンのCabenuva(カボテグラビル、リルピビリンの合剤)について、成人HIV-1感染症における2ヵ月に1回投与の維持療法での医薬品承認事項変更申請をFDAに提出したと発表した。
米国においてCabenuvaは、抗HIV治療における月1回投与の長期作用型注射2剤レジメンとして承認されており、今回はそれに続く2ヵ月に1回投与での申請となる。
今回の申請は、グローバルP3試験であるATLAS-2M試験の良好な結果に基づくもの。
ATLAS-2M試験は、ウイルス学的失敗歴がなく6ヵ月以上ウイルス抑制が達成されたHIV患者を対象に、Cabenuvaの2ヵ月に1回投与時の有効性、安全性を月1回投与時と比較した試験。両投与群間でCabenuvaのウイルス抑制効果と安全性の非劣性が示されている。同申請が承認された場合、2ヵ月毎(年6日)の投与でHIV治療が可能となり、患者のさらなるQOL改善が期待される。
抗HIV薬として世界初の長期作用型注射であるカボテグラビルおよびリルピビリンの2剤レジメンは、毎日の服用が求められるHIV治療において新たな選択肢となる。ViiV社は、米国に加えて、欧州では既に月1回投与および2ヵ月に1回投与の承認を取得しており、カナダでも月1回投与の承認を取得している。
また、カボテグラビル単剤では、2021年半ばにHIV感染予防を適応とした承認申請を予定しており、FDAよりブレイクスルーセラピーの指定を受け、承認までの期間短縮のための開発・申請計画の相談や、審査資料の段階的な提出・審査などが可能となっている。
HIV感染症は、今なお国際社会における大きな課題だ。2019年末時点において推定3800万人がHIVに感染しており、年間170万人が新たにHIVに感染している。
なお、同件が2021年3月期の業績に与える影響は軽微である。