セフィデロコル 英国でサブスクリプション型償還モデルに採択  塩野義製薬

 塩野義製薬は21日、セフィデロコルについて、英国国立医療技術評価機構(NICE)および英国の国民保健サービス(NHS England and Improvement)より、サブスクリプション型の償還モデルに採択されたと発表した。
 薬剤耐性(Antimicrobial resistance:AMR)即ち抗菌薬に対する細菌の耐性獲得は世界規模の重要課題であり、国家レベルでの喫緊の課題である。これまでの抗菌薬適正使用の考え方は、新規抗菌薬の使用を限られた事例に絞ることで、新たに耐性菌が生じる速度を遅くすることにあった。
 だが、その結果として新たな抗菌薬の継続的な創出を支える収益体制の維持が困難となり、多くの企業が抗菌薬開発から撤退、もしくは規模縮小を余儀なくされた。
 今回、英国が試験的に開始した制度は、抗菌薬の処方量と切り離し、国が開発企業に対して固定報酬を支払う代わりに、必要なときに抗菌薬を受け取ることができるサブスクリプション型の償還モデルである。
 今後、2021年にNICEによる医療技術評価(Health Technology Assessment:HTA)が実施されたのち、2022年4月より加入支払い契約期間が開始される予定である。
 セフィデロコルは、WHOにより最優先の対応が必要であると考えられているカルバペネム系抗菌薬に耐性を示すアシネトバクター・バウマニ、緑膿菌、腸内細菌目細菌の全てに有効性を示す唯一の薬剤である。
 塩野義製薬では、今回の採択が、製薬企業の実効性ある市場を取り戻し、感染症分野のイノベーションを維持するための重要なステップと考えている。
 同社は、取り組むべきマテリアリティ(重要課題)として「感染症の脅威からの解放」を特定し、研究開発、製造、販売に加え、疾患の啓発や各種サーベイランス活動等、幅広く感染症に対する取り組みを推進。 グローバルの課題であるAMRの対策を進めて、今後各国政府および国際機関との連携をさらに強化し、抗菌薬の適正使用と新規抗菌薬開発の活性化に取り組んでいく。
 なお、同件が2021年3月期連結業績に与える影響は軽微である。

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