大阪府薬剤師会は、吉村大阪府知事の「ポビドンヨード含有うがい薬に、新型コロナウイルス減少効果が期待できる」との発表(4日)を受けて、府民に対し「適正使用のための注意喚起」を呼びかけている。注意喚起は、同会ホームページ上で行っており、「新型コロナの予防が立証されているものではない」、「ポピドン・ヨードの使い方の注意」等の事項が掲載されている。また、会員に対しても、OKISS(大阪府薬剤師会かかりつけ薬局情報支援システム)で「適正使用の啓発と安定供給のための適正な在庫確保」を要望した。17日開催の定例記者会見で、乾英夫会長が明らかにしたもの。大阪府薬では、ポビドンヨード含有うがい薬の適正使用を目的とした啓発文書の作成とともに、卸関係団体に安定供給の申し入れを行った。
ヨードを過剰に摂取すれば甲状腺機能低下症、甲状腺腫、甲状腺中毒症が惹起する。従って、府民への啓発文書では、冒頭で「ポビドンヨード含有うがい薬は、新型コロナ感染症の予防効果が立証されたものではない」と断言。
さらに、「妊婦・授乳婦、小児、高齢者」、「甲状腺機能障害」、「口内炎のひどい症状」等の人は「特に注意が必要」と強調した上で、「使用回数や使用方法を守りうがい薬として使用する」ように呼び掛けている。また、「わからないこと、不安に思うことがあれば、かかりつけ薬剤師・薬局に気軽に尋ねる」よう訴求している。
一方、大阪府薬の会員に対しては、OKISSで「ポピドンヨードうがい薬の安定供給」、「府民への適正使用の注意喚起」、「ポピドンヨードうがい薬単独処方の留意点」を掲載している。
ポピドンヨードうがい薬の安定供給について乾会長は、「薬局で一度に大量に購入されると、市場に流通する在庫量に影響を与える」と明言。その上で、「現在、OTCは勿論、零売できる医療用も品薄になっている」と報告し、「会員薬局は、必要とする患者への供給に影響が出ないよう適正な在庫確保に努めてほしい」と訴えかけた。
ポピドンヨードうがい薬単独処方については、「平成26年度診療報酬改定時より、治療目的でないうがい薬のみの処方は、処方料、調剤料、薬剤料等が算定されないので、改めて留意する必要がある」と述べた。
大阪府の補助金を受けて実施する「薬局の在宅医療推進事業」については、道明雅代副会長が、「薬局薬剤師を対象とした病院退院時服薬指導等への同行研修と、病院薬剤師を対象とした在宅患者宅への薬局薬剤師との同行研修が実施される」と説明。
加えて、「これらの相互研修は、大阪府の全地域で実施してほしい。それによって充実した入退院時の情報供給を図り、より良い在宅薬剤管理に繋げたい」と抱負を述べた。
また、2019年度の「未来を担う薬剤師フォーラム」がコロナ禍のために余儀なく中止されたが、堀越博一常務理事は、こうしたフォーラムを含む今後の研修会の実施方法について言及。今の状況で一堂に集まるのは難しいため、「テレビ会議同様に映像と音声を使って双方のコミュニケーションが取れるZOOMシステムを導入し、入場者を制限しながら一定人数を担保して研修会を開催していく」考えを明らかにした。