eお薬手帳を活用したFAXコーナーのシステム構築を承認     京都府薬定時総会

河上会長

 京都府薬剤師会は14日、2020年度第16回定時総会を開催し、現在京都府下15病院で運用しているFAXコーナーのeお薬手帳を活用したシステム変更や、令和2年度第一次補正予算を承認した。また、薬剤師会館の劣化に伴う「移転」、「建て替え」、「メンテナンスによる使用継続」の選択肢を1年を目途に決定することも併せて報告した。
 開会のあいさつで河上英治会長は「新型コロナ感染禍において京都府薬では府民と会員にメッセージを発信した。府民には、『医薬品については是非薬局を頼ってほしい』、薬局には『医療提供施設・従事者として誇りを持って積極的に対策に取り組んでほしい』と要望した」と紹介。
 その上で、「京都府は6月11日現在で入院患者4人、施設・自宅待機者0人で、自分を守りながら経済を回していく方向になっている。国の本年度第二次補正予算で、新型コロナウイルス感染症に伴い1薬局上限70万円の支援も確定した」と報告した。
 さらに、「薬剤師会も滞っていた事業を再開していく。昨年6月に設置した総合戦略会議の意見を取り入れながら、府民の公衆衛生により一層寄与できる薬剤師会を目指したい」と抱負を述べた。
 「総合戦略会議」は、昨年6月に会長に就任した河上氏が、会運営の目玉として立ち上げたもので、同会議の中に、「連携強化(入退院、外来時情報共有等)」、「薬局強化(かかりつけ薬剤師の推進等)」、「病院強化(タスクシフティングの推進等)」、「見える化(健康福祉行政への関与等)」「組織強化」の5つのプロジェクトを設置。3年毎に評価できる仕組みを構築して事業を推進している。
 FAXコーナーのeお薬手帳を活用したシステムへの変更は、従来設置されていた送信機器のメンテナンス終了(本年11月末)に伴うもの。メンテ終了後は、現在の送信器と同等の製品を提供している運営会社で代替するのではなく、日薬が提供するeお薬手帳に付属する処方箋画像送信システムを活用。FAXコーナーに、処方箋画像送信システムのみを扱うタブレットを設置して、処方箋応需薬局がeお薬手帳のデータを閲覧できるシステムになっている。
 eお薬手帳の処方箋画像送信機能のFAXコーナーへの応用により、患者、病院、薬局それぞれが有用なFAXコーナーの維持が可能となる。さらに、患者には電子お薬手帳の啓発を、薬局には電子お薬手帳のデータにアクセスする薬局システムの周知と患者のための環境整備に向けた導入・拡大の狙いもある。
 河上会長は、「普及している紙のお薬手帳の電子化促進ではなく、紙と電子版のどちらを選択するかは患者に拠るもので、今回は、その選択に係る環境整備である」と強調した。
 一方、現在の会館は、昭和59年、京都府の借地の上に建設された。築36年経過しており、京都府薬は京都市に毎月地代を支払ってきた。今回の劣化診断では、「躯体部分はしっかりしており、建物の建て替えは不要。屋上の防水、外壁塗装の保全工事が必要で、2022年から15年毎に大きな改修工事、5年毎の小規模修理を要する」との結果が出された。京都府薬では、「移転」、「建て替え」、「」メンテナンスをしながらの使用続行」のいずれかの方針を1年をめどに決定する。
 また、横田薫京都府健康福祉部薬務課課長は祝辞の中で、「濃度の高いアルコールは、消防法などの様々な規制がかかっているが、60%台のものを薬局に届けるので、第二波に向けて活用してほしい」と訴求。
 9月1日からスタートするオンライン服薬指導では、「提供状況確認のための薬剤師会への報告」、国の新型コロナウイルス感染症における薬局支援(第二次補正予算)では「同制度申請に係る領収書の保管」を要望した。
    

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