武田薬品は25日、ALUNBRIG(一般名:brigatinib)について、希少かつ重篤な肺がんと診断された患者に対するファーストライン(一次)治療としてFDAが承認したとは発表した。具体的な適応症は、FDAが承認した検査により診断された成人の未分化リンパ腫キナーゼ遺伝子転座陽性(ALK陽性)転移性非小細胞肺がん患者。
ALUNBRIGは、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)分子変異を標的とするようデザインされた強力かつ選択的な次世代のチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)である。同承認は、ALK阻害薬による前治療歴のない成人のALK陽性局所進行あるいは転移性非小細胞肺がん 患者を対象に、クリゾチニブと比較してALUNBRIGの安全性および有効性を評価するP3試験(ALTA-1L試験)結果に基づくも。
2 年以上の追跡後、ALTA-1L試験の結果から、ALUNBRIGはクリゾチニブよりも良好な結果が示され、特にベースラインで脳転移を有する患者に対し、抗腫瘍活性が有意に高かった。
同試験において、盲検化された独立評価委員会(BIRC)による評価では、無増悪生存期間(PFS)の中央値はクリゾチニブの 11ヵ月に対して ALUNBRIG は 24 ヵ月であり、ALUNBRIG はクリゾチニブと比較して病状進行または死亡のリスクを 2 倍低下させた(PFS ハザード比=0.49)。
確定全奏効率(ORR)が ALUNBRIG 群では 74%(95%信頼区間:66-81)、クリゾチニブ群では62%(95%信頼区間:53-70)であることが BIRC の評価として示された。
ベースラインで測定可能な脳転移を有する患者の確定頭蓋内ORRがALUNBRIG 群では 78%(95%信頼区間:52-94)、クリゾチニブ群では26%(95%信頼区間:10-48)あることが示された。
ALTA-1L試験結果についてコロラド大学がんセンター肺がんリサーチのJoyce Zeff ChairであるRoss Camidge医師は、「クリゾチニブとの比較での良好な結果により、ALK陽性非小細胞肺がん患者に対するファーストライン治療のオプションとしてbrigatinibが治療薬のリストに加わった」と説明する。
さらに、「brigatinibは、クリゾチニブと比較し、特にベースラインで脳転移を有する患者に対して良好な有効性を示すとともに、何年にもわたり疾患を管理するのに重要な要素となり得る 1 日 1 錠という服薬負担の少なさも示した」と報告。
その上で、「これらのデータにより、brigatinibのファーストライン治療薬としての可能性が確立されました。今回のFDAの承認により、医師と患者さんにとって新たな可能性が開かれるものと確信している」とコメントしている。