武田薬品は28日、mobocertinib (TAK-788)について、非小細胞肺がんの限定治療でFDAがBreakthrough Therapyに指定したと発表した。具体的な適応症は、プラチナ製剤をベースとした化学療法を実施中あるいは実施後に病勢が進行した上皮増殖因子受容体(EGFR)エクソン20挿入変異を伴う転移性非小細胞肺がん(NSCLC)。現在、同疾患に対する既存の治療薬はない。
FDAによるBreakthrough Therapy指定は、重篤または生命を脅かす疾患の治療を目的とした薬剤の開発および規制当局による審査を加速するために行われるもの。同指定を受けた治療薬は、1つ以上の臨床的に重要な評価項目において、既存の治療薬よりも大幅な改善を実証し得ることを示唆する予備的な臨床エビデンスを示している。
mobocertinibは、EGFRおよびヒトEGFR2(HER2)エクソン20挿入変異を選択的に標的とするよう設計された低分子チロシンキナーゼ阻害薬。今回のBreakthrough therapy指定は、EGFRエクソン20挿入変異を伴い、全身化学療法による治療歴を有する局所進行あるいは転移性非小細胞肺がんの患者を対象に、mobocertinibの安全性および有効性を評価する臨床第1/2相試験における全奏効率(ORR)および奏効患者に対する長期的な効果に基づくもの。
同指定は、標的療法が存在せず、現在の治療選択肢があまり効果をもたらさない患者のニーズを満たす点において、治療の進歩の可能性を示唆するものだ。
武田薬品は、28日(米国東部時間)に、米国癌学会議(AACR)のVirtual Annual Meeting IのNew Drugs on the Horizon sessionにおいて、mobocertinibの薬剤の構造の開示を含む同薬開発について初めて発表する。