医療系学生対象にアプリによるIBD患者生活体験を実施     武田薬品

 武田薬品は 28日、炎症性腸疾患(IBD)の患者の生活を体験するシミュレーションプログラム「In Their Shoes」を、医療系学生を対象に実施した。当初は対面形式でのイベント開催を予定していたが、新型コロナウイルス感染症の状況に対応し、講師も含め全員がオンライン会議システムを使用し参加した。
 「In Their Shoes」は、スマートフォンのアプリケーションからの指示に従ってIBD 患者の日常生活を体験し、患者の気持ちのより適切な理解を目的として開発されたシミュレーションプログラム。「In Their Shoes」とは、英語で「その⼈と同じ⽴場や境遇に身を置いて考える」を意味する。


 同プログラムは、IBD 患者や患者団体の協⼒を得て海外で開発された、科学的根拠に基づくストーリー性のあるプログラムで、武田薬品の包括的な患者ケアへの取り組みである、“Patient First Program(ペイシェント・ファースト・プログラム)”の取り組みの一つである。
 IBDは、比較的若年に発症し、10 歳代から30歳代に好発する。患者の多くは、頻回の下痢や血便、腹痛、発熱、さらには慢性疲労に悩まされながら日常生活を送っている。だが、IBDは見た目に分かりづらい疾患であるため、患者は学校や職場などで周囲の理解が得られず、様々な悩みを抱えながら生活している。
 今回、IBDの好発年齢層である20代の医療系学生に、IBD 患者の抱える課題を理解してもらうことを目的に「In Their Shoes」を実施した。
 日本で初めての社外への提供となる「In Their Shoes」では、IFMSA-Japan(国際医学生連盟 日本)、日本薬学生連盟及び栄養学生団体【N】に所属する27名の医学生、薬学生、看護学生及び栄養学生等がプログラムに参加した。参加者は、アプリケーションに送信される指示に従い、急にトイレにいくよう催促される、ランチタイムで食事制限が課され食事の選択肢が限られる、などのシミュレーション体験を行った。
 参加者からの感想としては、「IBD 患者さんの日常生活を体験することによって、宴会の料理が食べられない、トイレが混雑していたら間に合わないなど、IBD疾患を自己管理しながら日常生活を送ることの難しさや患者の気持ちを理解できた」、「IBDは見た目だけでは分からない病気だからこそ、IBD患者さんが病気について話しやすい雰囲気、それを聞いた周りが受け入れる雰囲気が大切だと感じた。そのための一歩として、まずはこの病気について知っている人が増えるといいなと思う」などの声があった。


 「In Their Shoes」の実施にあわせて、IFMSA-Japan(国際医学生連盟 日本)、一般社団法人日本薬学生連盟及び栄養学生団体【N】、並びにエームサービス株式会社との共催で、2つのワークショップも実施した。チーム医療ワークショップにおいては、「In Their Shoes」のプログラムで体験した患者の気持ちに寄り添いながら、学生がそれぞれの専門分野を活かし、IBD 患者さんの抱える課題や悩み、解決策を考えた。また、IBD 患者の夢の食べ物「IBDream めし」を考案するレシピワークショップも実施した。今回考案された「IBDream めし」のレシピは、本年5月の世界IBD デーに併せ発表する予定である。
 今回のイベントにおける参加者の体験談や、イベントの模様、並びに「IBDream めし」レシピは、特設 WEB サイト(https://ibd-intheirshoes.jp/)で順次掲載していく。今後も、武田薬品では、患者に包括的なケアを提供し、ケアの成果を最大化するために、様々な活動に取り組んでいく。

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