リムパーザとセジラニブの併用療 再発卵巣がんP3試験のPFSで有意差なし  アストラゼネカ

 アストラゼネカは18日、プラチナ製剤感受性再発卵巣がんを対象としたリムパーザとセジラニブの併用療法とプラチナ製剤ベースの化学療法を比較したP3試験(GY004試験)において、併用療法は主要評価項目であるPFSの延長を達成できなかったと発表した。
 同試験は、米国国立がん研究センター(NCI)の支援の下、NRG Oncologyによって実施され、プラチナ製剤感受性再発の卵巣がん患者を対象に、新薬候補であるセジラニブとリムパーザ(一般名:オラパリブ)の併用療法の有効性と安全性をプラチナ製剤ベースの化学療法と比較、評価したもの。
 今回の試験結果では、セジラニブとリムパーザの併用療法は治療意図集団(ITT)において、プラチナ製剤ベースの化学療法に対して、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)を統計学的に有意に延長することができなかった。セジラニブは経口型の血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)阻害剤で、腫瘍の増殖を促進する血管の増殖を阻害する。
 アストラゼネカのオンコロジー研究開発エグゼクティブバイスプレジデントであるJose Baselgaは、「今回の結果は残念であるが、進行卵巣がん患者のためにリムパーザが既に示しているベネフィットを最大化すべく、今後も取り組んでいく」と強調。その上で「当社はNRG OncologyとNCIと緊密に連携しながら同試験の詳細データを確認し、進行中の開発研究に反映していきたい」と抱負を述べている。
 なお、GY004試験で確認された安全性および忍容性は、セジラニブとリムパーザの既知のプロファイルと概ね一致していた。NCIとNRG Oncologyは、試験の詳細結果を今後の学会で発表する予定。
 卵巣がんは、世界における女性がんの死因として8番目に多い。2018年には、約30万人が新たに診断され、約18万5000人が死亡している。その多くは進行(Ⅲ期またはⅣ期)卵巣がんと診断され、5年生存率は約30%。再発卵巣がん治療における最大の目的は、病勢進行をできる限り遅らせることで、毒性が懸念される化学療法を開始するまでの期間を延長させ、患者の生活の質を維持することにあある。

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