歯科技工業界初の口腔がん早期発見システムを始動    三和デンタル

 歯科技工所の三和デンタル(本社:東京都)は、1月26日より口腔がん早期発見システムの事業を開始した。同事業は、早い段階で治療すれば命に関わる疾患ではない口腔の定期的検査による早期発見・治療を目的としたもの。同キットは、LBC法(液状化検体細胞診)と呼ばれ子宮頸がんに使われる検査方法を口腔内に応用して開発された。


口の中全体を「口腔」と言い、その部分にできるがんを総称して 「口腔がん」と呼ばれている。口腔がんは初期症状のうちに発見 して治療すれば後遺症もほとんど残ることはない。だが、日本国内での口腔がん患者数は年々増加傾向にあり、比例して死亡者数も増加している。これまで高齢男性に多く みられる疾患という見解があったが、近年、女性や40歳未満の若年層にも口腔がんに侵されている例がみられるようになった。


 その一方で、口腔がんは早期発見できれば命に関わる疾患ではない。定期的に検査を受けて口腔がんを早期発見し、いかに治療に導くかが今、医療現場で大きな課題となっている。
 こうした中、三和デンタルは「口腔がん検査キット」を開発して販売を開始し、街の歯科医院で手軽に検査を実施でき、診断については専門機関と連携する「口腔がん早期発見システム」を構築した。全国の歯科医院での導入を目指し、口腔がんの死亡数を減らす活動をスタートした。
 口腔がんは他部位のがんと違い、外部から肉眼で病変を観察・触診することができ、歯科医師による診断が可能である。状態が疑わしいと判断した際は、歯科医師より口腔がん専門医への受診を勧めている。
 だが、全ての歯科医師が患者の口を診るだけで口腔がんを発見できる訳ではない。また、口腔がんの認知度はまだまだ低く、歯科医師より説明があったとしても数値化されたものを提示される訳ではないため状況を軽く受け止め、治療が遅れてしまうケースも多く見られる。


 そこで、三和デンタルは、街の歯科医院で実施できる「口腔がん検査キット」を企画・販売開始した。同社は、全国に6万8000件ある歯科医院の10%弱(約6000院)とのネットワークを構築。そのネットワークを通じ歯科医院に「口腔がん検査キット」の販売をするだけでなく、歯科医院と検査機関とのネットワーク「口腔がん早期発見システム」を全国に拡大し、口腔がんの患者数を減少を目指している。なお、患者への提供は、8000~1万円を予定し、約1週間で検査結果の通知を行う。
 これまで入れ歯や被せものなど歯科技工物の販売を中心としていた三和デンタルは、今回の「口腔がん検査キット」の販売を機に、口腔内ケアを中心とした健康事業に参入する。超高齢化時代の医療に欠かせない機関の確立を目標とし、その第一歩として全国の歯科医師と共に活動していく。

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