「インスリン分泌制御機構」テーマとした第62回「ベルツ賞」受賞者発表 日本ベーリンガーインゲルハイム

 日本ベーリンガーインゲルハイムは2日、「インスリン分泌制御機構とインスリン分泌低下性糖尿病」をテーマとした第62回「ベルツ賞」受賞者を発表した。
 今回は、片桐秀樹東北大学大学院医学系研究科 糖尿病代謝・内分泌内科学分野 教授 、および今井淳太東北大学病院 糖尿病代謝・内分泌内科 特命教授の「臓器間神経ネットワークによるインスリン分泌・膵 β 細胞増殖制御機構の解明とインスリン分泌低下性糖尿病治療への応用」が1等賞、山縣 和也熊本大学大学院生命科学研究部 病態生化学講座 教授の「膵β細胞転写因子の異常によるインスリン分泌低下型糖尿病の発見とその発症機構の解明」が 2等賞を受賞した。
 贈呈式は、ドイツ大使公邸で執り行われ、日本ベーリンガーインゲルハイムより、1等賞受賞者に1000万円、2等賞受賞者に500万円の賞金、さらに賞状とメダルがそれぞれ贈呈された。
 「ベルツ賞」は、日本とドイツ両国の歴史的な医学領域での交流関係を回顧し、またその交流関係を更に深めていく目的で、ベーリンガーインゲルハイムが1964年に創設したもの。毎年、時宜に応じたテーマで論文を募り、優れた論文に対し授与している。
 第62回となる今年は、「インスリン分泌制御機構とインスリン分泌低下性糖尿病」をテーマとして論文を募集し、9篇の論文が寄せられた。常任委員5名と専門委員4名からなる選考委員会による厳正な審査の結果、受賞者が決定したもの。
 1等賞の「臓器間神経ネットワークによるインスリン分泌・膵 β 細胞増殖制御機構の解明とインスリン分泌低下性糖尿病治療では、神経を介した臓器間ネットワークが全身の代謝恒常性維持に果たす役割を解明。その新しい概念を提示したパイオニア的な研究であり、インスリン分泌制御機構の病態解明ならびにインスリン低下性糖尿病の治療開発に大きく寄与するものであると評価された。
 2等賞の「膵β細胞転写因子の異常によるインスリン分泌低下型糖尿病の発見とその発症機構の解明」は、若年発症成人型糖尿病(maturity-onset diabetes of the young: MODY)とよばれるインスリン分泌低下性糖尿病の成因解明、ならびに治療法の開発に大きく貢献した点が評価された。
  
◆マリカ ・ テテレ日本ベーリンガーインゲルハイム取締役医薬開発本部長のコメント
 ベルツ賞は長年にわたり日本の医学研究の高い水準を象徴してきた伝統と権威のある医学賞で、これまで継続できたことを心より感謝している。世界で約6億人が糖尿病とともに生きる中、近年新たな治療法が積極的に開発されているものの、引き続き患者さんの切実なニーズや社会的課題が存在する。
 今回の受賞研究は、糖尿病における新たな治療選択肢の創出に道を開き、患者さんにより良い未来をもたらすことが期待される。

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