MSDは8日、21価肺炎球菌結合型ワクチン(無毒性変異ジフテリア毒素結合体)「キャップバックス」について、日本で製造販売承認を取得したと発表した。
適応症は、高齢者または肺炎球菌による疾患に罹患するリスクが高いと考えられる成人における肺炎球菌による感染症の予防。
キャップバックスは、成人の肺炎球菌感染症予防に特化して設計された肺炎球菌結合型ワクチンである。日本人成人の市中肺炎の原因となる肺炎球菌血清型の71.9%、侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)では80.3%に対応しており、同ワクチンは従来のワクチンに比べてさらに広く肺炎球菌感染症を予防することが期待できる。
肺炎は日本人の死因の第5位で、肺炎で亡くなる人97.8%は65歳以上の高齢者が占めている。肺炎球菌は、日常でかかる肺炎(市中肺炎)の病原微生物のなかで最も多い細菌だ。
また、肺炎球菌が原因となる感染症のなかでも重篤なのが、IPDである。IPDは本来、無菌である髄液または血液等から肺炎球菌が検出される感染症であり、発症した成人の22.1%が亡くなり、8.7%に後遺症が残り予後が悪いという報告がある。
「キャップバックス」の製造販売承認は、肺炎球菌ワクチンの接種歴のない成人を対象とした国内P3相STRIDE-9試験、海外P3相STRIDE-3および国際共同STRIDE-8試験等の結果に基づくもの。
同ワクチンは、米国では優先審査品目として、2024年6月に米国FDAの承認を取得しており、同月、米国疾病予防管理センター(CDC)の予防接種諮問委員会(ACIP)は全会一致で、成人の肺炎球菌感染症予防に使用するワクチンとして推奨を決定した。また、2025年3月には欧州委員会(EC)で承認を取得している。
白沢博満MSD代表取締役会長執行役員グローバル研究開発本部長のコメント
今回承認されたキャップバックスは、成人の市中肺炎やIPDの主要な原因となる血清型に対応している。IPDによる合併症は予後が悪く、入院や臓器障害、さらには死に至る可能性がある。肺炎球菌感染症という深刻な疾患から高齢者や罹患リスクの高い方々を守るための新たな選択肢として、キャップバックスを日本の皆さんに提供できることを大変嬉しく思う。