第一三共は7日、トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd/DS-8201、抗HER2抗体薬物複合体[ADC])について、再発リスクの高いHER2陽性の早期乳がんにおける術前療法を対象としたグローバルP3試験(DESTINY-Breast11)の主要解析において好結果を得たと発表した。
同試験は、再発リスクの高いHER2陽性の早期乳がん患者927名を対象に、同剤単剤投与または同剤投与後にパクリタキセル、トラスツズマブ、ペルツズマブの併用療法(THP療法)を行う術前療法における有効性と安全性を、ドキソルビシンとシクロホスファミド投与後にTHP療法を行う現在の標準治療(ddAC-THP療法)と比較して評価するグローバルP3試験である。
同試験の主要評価項目である病理学的完全奏効率において、同剤投与後にTHP療法を行った術前療法は、ddAC-THP療法に対し、統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善を示した。
重要な副次評価項目である無イベント生存期間については、ddAC-THP療法に対し初期の改善傾向が認められたものの、同解析時点において十分なフォローアップ期間に達していなかったため、引き続き評価が継続される。
安全性について、同剤投与後にTHP療法を行った術前療法は、ddAC-THP療法に対し良好な安全性プロファイルを示した。また、新たな懸念は認められず、本剤およびTHP療法の既知の安全性と同様の傾向であった。間質性肺疾患(ILD)については、それぞれの群で同程度の発現割合であった。なお、同剤単剤投与群の患者登録は独立データモニタリング委員会による中間評価に基づき、途中で終了した。
同試験結果の詳細は、今後、学会にて公表し、各国・地域の規制当局に共有する予定である。