Cloudbreak社と新翼状片治療薬「CBT-001」 のライセンス契約締結 参天製薬

 参天製薬は6日、臨床段階の眼科用医薬品に注力する医薬品企業のCloudbreak社(本社:米・カリフォルニア)と、Cloudbreak社が翼状片を適応症として独自に開発しているマルチキナーゼ阻害剤「CBT-001」について、日本、韓国および、ベトナム、タイ、マレーシア、フィリピン、シンガポール、インドネシアの東南アジア諸国におけるライセンス契約を締結したと発表した。
 同契約に基づき、Cloudbreak社は参天製薬に対し、対象地域における製剤の開発・製造・販売に関する権利を許諾する。
 契約条件に基づき、Cloudbreak社は最大 9100万ドルの契約一時金とマイルストンを受け取る。また、同社は製品の売上に応じて 2 桁台の料率でロイヤルティを受け取る権利がある。
 CBT-001は、翼状片の治療を目的として、Cloudbreak社が開発しているニンテダニブ乳化点眼剤である。ニンテダニブは、マルチキナーゼ阻害剤として、VEGF(血管内皮増殖因子:vascular endothelial growth factor)受容体および、PDGF(血小板由来成長因子:platelet derived growth factor)受容体、FGF(線維芽細胞増殖因子:fibroblast growth factor)受容体に作用し、血管新生および線維化を抑制する。
 現在、米国にて前期P2試験が完了し、米国、オーストラリア、ニュージーランド、中国、インド、で大規模な多施設における国際共同P3試験が実施されており、CBT-001 は、翼状片の病変の進行を点眼剤で抑制するという新たな治療選択肢を医療従事者および患者に提供できる可能性が期待されている。
 翼状片は、結膜から発生し角膜表面に進展する非悪性の線維血管組織増殖である。翼状片はその浸潤性増殖傾向と再発傾向から良性腫瘍とみなされることが多く、転移はない。翼状片は非悪性腫瘍であるが、充血、刺激、疼痛、異物感などの重大な眼の症状を引き起こす場合があり、患者のQOLに影響を及ぼす。
 現在、翼状片を適応とした治療薬はなく、眼の充血や異物感に対する対症療法として人工涙液や、炎症の強い症例ではステロイドの点眼薬などを使用する場合もありますが、これらの点眼液は翼状片そのものの改善につながらない。また、ステロイドの長期間の使用については安全性上の課題がある。
 視軸への侵襲があり視力に影響を及ぼす場合は、翼状片の外科的切除を行い、充血が持続する場合にも同様の処置が行われる症例がある。翼状片に対し、現在さまざまな術式が選択されているが、どの手法にも再発する傾向があり、翼状片手術における課題とされている。
 一方で、重度になるまでは手術は行わず、経過観察が主な手段になっているのが現状だ。発症の原因は不明であるが、同疾患の発症と進行においては、紫外線が密接に関わっていると考えられている。
 翼状片患者は、低緯度地域に多く、世界では人口の約10%が罹患しており、日本には400万人前後の患者がいると推定されている。また、有病率は、日本においては40歳以上の4%、韓国は 3.8%、ベトナム・マレーシア・フィリピン・タイは10.1%と推定される。

◆中島理恵参天製薬取締役 チーフ オペレーティング オフィサーのコメント
 これまで、翼状片は重症化してから手術をして切除する治療法が一般的であったが、今回、本疾患に対し、点眼剤で治療できる可能性があるCBT-001 について、Cloudbreak 社と日本およびアジア地域での開発・上市に向け協働できることを大変嬉しく思う。
 CBT-001を当社の新疾患領域の開発パイプラインに加え、眼科に特化したスペシャリティ・カンパニーとしての知見と経験を活かすことで、翼状片患者さんのアンメットニーズに応える新たな治療選択肢を一日でも早くお届けできるよう努めていく。

◆ジンソン・ニーCloudbreak社創業者、最高経営責任者(CEO、博士)のコメント
 品質、革新性、患者さんの目の健康へのコミットメントで知られている参天製薬と提携できることを嬉しく思う。両社が共に描くビジョンと専門知識を結集することで、この有望な疾患修飾治療(disease modifying therapy:DMT)を、日本および世界中の翼状片患者さんに迅速に提供するという私たちの使命が大きく前進することを期待している。

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