武田薬品は30日、遺伝性血管性浮腫(Hereditary Angioedema、HAE)の急性発作の発症抑制薬「タクザイロ」を発売したと発表した。薬価は、タクザイロ皮下注300mgシリンジ:128万8729円。
同剤は、主にグローバル臨床P3試験であるHELP(Hereditary Angioedema Long-term Prophylaxis)試験(NCT02586805)、P3相HELP Open-label Extension(OLE)試験(NCT02741596)、および日本人患者を対象としたP3相試験(NCT04180163)に基づき、2021年3月12日に厚労省に製造販売承認申請を行い、本年3月28日に製造販売承認を取得したもの。これらの試験において、タクザイロはHAEの急性発作の発症抑制薬として有効性および安全性を示した。
HAEは、腹部、顔面、足、性器、手、喉など、身体のさまざまな場所に繰り返し浮腫発作を引き起こす希少な遺伝性疾患である。喉に発生した場合は、気道がふさがり呼吸困難を起こし、窒息死する危険もある。 世界中で5万人にひとりが罹患していると推定されている。日本には、2000人から3000人の患者の存在が推定されているが、疾患に対する国内認知度は低く、診断されている患者は約450名に留まっており、未診断の患者が多くいると考えられている。
タクザイロは、2018年にアメリカ合衆国で12歳以上のHAE患者の発作の発症抑制薬として初めて承認を取得し、以降、現在では50を超える国で承認されている。海外では、医療専門家によるトレーニングを受けたうえで、患者自身または介護者による同剤投与も可能としている国もある。
HAE患者を対象とした実薬治療期間が最も長く最大規模の予防研究の1つである臨床試験を含む堅固な臨床開発プログラムによってサポートされており、世界各国で承認申請を進めている。
◆濱村美砂子武田薬品ジャパン ファーマ ビジネス ユニット希少疾患事業部長のコメント
本日よりHAEの急性発作の発症抑制が期待できるタクザイロを、HAEの新しい治療選択肢として日本のHAE患者さんにもお届けできることを心よりうれしく思う。
治療薬の創出を通じて、また、患者さんの日常生活に寄り添うさまざまな活動展開を通じて、一人でも多くの患者さんの人生を制限しない世界の実現を目指し尽力していきたい。