レナリスファーマは22日、日本小児腎臓病学会(所在地:東京都)が行う本邦のアルポート症候群レジストリ研究(研究責任者:野津寛大神戸大学大学院医学研究科 内科系講座小児科学分野教授)に対し、研究費用の支援を行うと発表した。
アルポート症候群は、小児期から血尿や蛋白尿などの腎症状を呈し、進行性に腎機能が低下する遺伝性腎疾患である。同症は、Ⅳ型コラーゲンをコードする遺伝子の異常によって糸球体基底膜の構造が破綻し、腎機能障害を引き起こす。重症例では男性で10 代後半から20 代前半に末期腎不全に進行してしまう疾患で、難聴や眼症状を合併することも特徴である。小児慢性腎疾患は成長や発達に大きな影響を及ぼすため、社会的にも重要な課題となっている。アルポート症候群は希少難病(指定難病218)に分類され、本疾患に対する根本的な治療法は確立されておらず、大きなアンメットニーズが存在している。
アルポート症候群レジストリ研究は、可能な限り多くの日本におけるアルポート症候群の患者の情報を収集・分析し、その情報を患者さんや医師、医療関係者に発信することで、アルポート症候群の患者の適切な管理や、新しい治療法・医薬品の開発につなげることを目的としている(https://ctportal.tri-kobe.org/studies/TRI1913/)。
なお、レナリスファーマは、同研究の施行、データ解析、論文作成等には関与しない。同社は、腎関連疾患における革新的な治療薬の開発を通じて日本及びアジアの患者により良い治療を提供すべく事業を推進していく。
◆中西浩一日本小児腎臓病学会理事長生(琉球大学大学院医学研究科育成医学[小児科]教授)のコメント
レジストリ研究は、現実の医療を可視化し、質の高い医療提供と政策立案、科学的根拠に基づいた治療法確立に不可欠な研究手法である。
今回のレナリスファーマのアルポート症候群レジストリ研究への支援に心から感謝する。
◆野津寛大研究責任者のコメント
本研究はすでに300例以上の症例のデータが登録されているだけでなく、海外のレジストリと比較して明らかに質の高い日本独自のレジストリが構築されつつある。今後、これまで分からなかったアルポート症候群の臨床的特徴、既存の治療法の有効性、さらには今後開発される新薬の有効性の評価に大いに役立つ可能性がある。質の高いレジストリの維持において、今回のレナリスファーマのサポートには心より感謝申し上たい。
