Johnson & Johnsonは4日、本年3 月に実施した多発性骨髄腫の患者と多発性骨髄腫を診療する医師を対象とする調査の結果を発表した。同調査は、多発性骨髄腫において患者や医師が掲げる治療目標や、患者が大事にしている事柄に時間を充て、充実した気持ちでの生活が治療に与える影響などを明らかにすることを目的としたもの。昨年11月に発表した「多発性骨髄腫における治療継続に関する調査」に続く、2つ目の調査となる。
多発性骨髄腫は、現時点では治癒困難な血液がんである。だが、初発治療だけでなく、再発または難治性に対しても新しい治療薬や治療法が複数登場するなど、治療も進歩しており、治療を行うことで長期の生存が可能となる疾患になってきている。そのため、QOLを維持しながら、長期生存を目指すことを治療目的としている。
調査の結果、患者は、治療目標として「多発性骨髄腫になる前となるべく変わらない生活を送る」を挙げる人が最も多く51%(1~3位積み上げ)を占め、次に「自分の好きなこと、やりたいことを楽しむ、続ける」で48%(同)、そして「長く生きる」が40%(同)であった【図1】。
一方、医師が掲げる治療目標は、「全生存期間の延長(65%:1~3位積み上げ)」、「無増悪生存期間の延長(60%:同)」、「副作用や有害事象をなるべく抑えコントロールすること(35%:同)」を挙げる人が多く、「多発性骨髄腫になる前となるべく変わらない生活を送る」は31%(同)、「患者さんが自分の好きなこと、やりたいことを楽しむ、続けられること」を挙げたのは24%(同)と【図2】、
医師と患者さんでは、掲げる治療目標に大きなギャップが見られた。
また、医師に、長期的な治療目標を設定する際の「医学的な治療目標」と「患者さんのwell-beingやQOLの改善」のバランスについて尋ねたところ、65%対34%で、「医学的な治療目標」を重視する傾向にありました【図3】。
他方、医師と患者さんでは治療目標にギャップがあるものの、お互いに治療目標を共有することの重要性を認識していました。医師は、計93%(重要である56%、やや重要である37%)【図4】が、患者は計94%(重要である65%、やや重要である29%)【図5】が、長期に治療を継続する上で、治療目標の共有は重要であると回答した。
治療目標について話し合うため、主治医に何を伝えることが重要と考えているのか、何を患者さんやご家族から聞きたいかを尋ねたところ、医師も患者も順位に違いはあるものの、「患者さんが普段どのような生活をしているのか」、「治療をしながらでも患者さんが続けたいと思っていること」、「治療法を決める際、患者さんが何を最も重視しているのか」を上位3つに挙げた【図6、7】。
第1位だけで見た場合、「治療をしながらでも患者さんが続けたいと思っていること」を挙げた患者は24%おり、医師の10%の倍以上であった。
患者が、大事にしていることややりたいことに時間を充て、充実した気持ちで過ごすことの、多発性骨髄腫の治療に対する影響については、計92%の医師が良い影響を与える(かなり良い影響を与える54%、やや良い影響を与える38%)と回答【図8】。また、患者も計96%(かなり良い影響を与える48%、やや良い影響を与える48%)が良い影響を与えると回答した【図9】。
患者自身で大事にされていることややりたい事柄に時間を充て、充実した気持ちで過ごすことを実現するためには、医師も患者も順位は上下するものの、「通院頻度を少なくする」、「治療にかかる費用の負担を減らす」がともに上位を占め、これらが鍵となる【図10、11】。調査概要、主な調査結果は次の通り。
【調査概要】
調査主体 : ヤンセンファーマ
調査期間 : 2025年3月3日~11日
調査対象者 : 【患者】多発性骨髄腫と診断され、薬物治療を受けている(もしくは受けたことのある)患者 63人
【医師】血液内科、血液腫瘍内科に所属し多発性骨髄腫を診療する医師105人
方
法 : インターネット調査(調査実施会社:インテージヘルスケア)
【主な調査結果】
Q1:(患者さん調査)多発性骨髄腫の治療をうける上での目標として当てはまるものを教えてください。また、そのうち重要度の高いものから順に1位から最大3位まで教えてください。(MA)
「多発性骨髄腫になる前となるべく変わらない生活を送る」を挙げる人が最も多く51%(1~3位積み上げ)を占め、次に「自分の好きなこと、やりたいことを楽しむ、続ける」で48%(同)、「長く生きる」が40%(同)であった。

Q2.(医師調査)多発性骨髄腫を治療する中で、先生が治療目標として設定することが多いものをお知らせください。また、そのうち重要度が高いものから順に、1位から最大3位までお知らせください。(MA)
「全生存期間の延長(65%:1~3位積み上げ)」と「無増悪生存期間の延長(60%:同)」、「副作用や有害事象をなるべく抑えコントロールすること(35%:同)」であった。

Q3.(医師調査)多発性骨髄腫の治療が進歩するのに伴い、先生が患者さんの長期的な治療目標を設定する際に「医学的な治療目標」と「患者さんのwell-beingやQOLの改善」のどちらを重視して設定しているかお知らせください。 (SA)
65%対34%で、「医学的な治療目標」を重視する傾向にあった。
【図3】 n=105

Q4.患者さんや患者さんのご家族(もしくは主治医)と治療目標を共有することは、長期に治療を継続する上で、どの程度重要だと思いますか。(SA)
医師の計93%(重要である56%、やや重要である37%)、患者の計94%(重要である65%、やや重要である29%)が、治療目標の共有は、長期治療継続において重要と回答した。

Q5.(医師調査)患者さんが考える治療目標について話し合う際、患者や患者の家族からどのような話を聞けると、より治療目標について話しやすくなると思いますか。当てはまるものをお知らせください。また、そのうち重要度が高いものから順に、1 位から最大3位までお知らせください。(MA)
「患者さんが普段どのような生活をしているのか」を挙げた人が最も多く 71%(1~3 位積み上げ)を占め、次に「治療をしながらでも患者が続けたいと思っていること」で66%(同)、「治療法を決める際、患者さんが何を最も重視しているのか」(64%:同)が3番目に多い回答であった。
【図6】 n=105

Q6.(患者さん調査)治療をする上での目標について主治医と話しあう際、何を伝えるのが重要だと思われますか?また、そのうち重要度の高いものから順に1位から最大3位まで教えてください。(MA)
患者は「治療を決める際、何を最も重視しているのか」を挙げる人が最も多く 67%(1~3 位積み上げ)、次に「治療をしながらでも自分が続けたいと思っていること」で56%(同)、「普段どのような生活をしているのか46%(同)」であった。
【図7】 n=63

Q7.(医師調査)患者さんが治療を行う以外の時間を有意義に過ごすことは、多発性骨髄腫の治療に対してどの程度良い影響を与えると思いますか。なお、治療を行う以外の時間を有意義に過ごすとは、「患者さん自身で大事にされていることややりたいことに時間を充て、充実した気持ちで過ごす」とする。(SA) 患者が、大事にしていることややりたいことに時間を充て、充実した気持ちで過ごすことは、多発性骨髄腫の治療に対して、良い影響を与える(かなり良い影響を与える54%、やや良い影響を与える38%)と計92%の医師が回答した。
【図8】 n=105

Q8.(患者さん調査)患者さんご自身で大事にされていることややりたいことに時間を充て、充実した気持ちで過ごすことは、多発性骨髄腫の治療に対してどの程度良い影響を与えると思いますか。(SA)
患者さんの計96%(かなり良い影響を与える48%、やや良い影響を与える48%)が、治療に良い影響を与えると回答した。
【図9】 n=63

Q9.(医師調査)患者さんが多発性骨髄腫の治療を行う以外の時間をより有意義に過ごすため、以下のどのようなことが重要だと思いますか。また、そのうち重要度の高いものから順に 1 位から最大 3 位まで教えてください。なお、「治療を行う以外の時間を有意義に過ごす」とは、「患者さん自身で大事にされていることややりたいことに時間を充て、充実した気持ちで過ごす」とします。 (MA)
医師は、「通院頻度を少なくする」が圧倒的に多く70%(1~3位積み上げ)を占め、次に「治療にかかる費用の負担を減らす」が2位で47%(同)であった。
【図10】 n=105

Q10.(患者さん調査)患者さんご自身で大事にされていることややりたいことに時間を充て、充実した気持ちで過ごすためには、以下のどのようなことが重要か教えてください。また、そのうち重要度の高いものから順に1位から最大3位まで教えてください。
(MA)
患者は「治療にかかる費用の負担を減らす」が最も多く 62%(1~3 位積み上げ)を占め、次に「通院頻度を少なくする」で37%(同)であった。
【図11】 n=63
