アレクシオンファーマ合同会社は27日、アレクシオン・アストラゼネカ・レアディジーズおよびBridgeBio の「ビヨントラ」(一般名:アコラミジス塩酸塩)について、トランスサイレチン型心アミロイドーシス(ATTR-CM)治療薬として日本で製造販売承認を取得したと発表した。
厚労省による同承認は、New England Journal of Medicine誌に発表されたBridgeBioのATTRibute-CM 国際共同P3試験(NCT03860935)の肯定的な結果、および2024年9月に開催された第72回日本心臓病学会学術集会で発表された日本国内におけるP3相非盲検試験の肯定的な結果に基づくもの。
国内P3相非盲検試験の結果は、BridgeBioによるATTRibute-CM国際共同P3相試験の結果と一致しており、試験開始30カ月目までに報告された死亡はなく、ATTRibute-CM国際共同試験のプラセボ群(0.45)と比較して、患者1人・1年あたりの心血管関連入院の発生頻度は低値(0.13)であった。
アレクシオン・アストラゼネカ・レアディジーズは、BridgeBioの子会社、Eidos Therapeuticsとの間で独占的ライセンスを維持しており、日本における「ビヨントラ」の開発・販売促進を進めている。
ATTR-CM は、トランスサイレチン(TTR)と呼ばれるタンパク質が解離し、ミスフォールドしたものがアミロイド線維として凝集して心臓に沈着することによって引き起こされる全身性の進行性アミロイドーシスである。これらのアミロイド線維の心臓への蓄積は、心臓が血液を送り出しづらい心筋の状態である心筋症を引き起こし、さらに心不全を引き起こす可能性がある。
◆安東由喜雄杉村会杉村病院アミロイドーシス診療研究サポートセンター長(医学博士)のコメント
アコラミジスの承認は、ATTR-CM と共に生きる患者さんにとって非常に重要な一歩である。ATTR-CM は進行性の疾患であり、心不全を引き起こし死亡リスクを高めるため、病気の進行を抑えることが重要な治療目標となる。アコラミジス投与により、トランスサイレチンを安定させ、この病気の原因であるミスフォールドしたアミロイド線維の臓器への沈着を防ぐことで、ATTR-CM の患者さんの未来に希望をもたらすことが期待される。
◆Marc Dunoyerアレクシオン・アストラゼネカ・レアディジーズ最高経営責任者のコメント
ビヨントラはTTRの90%超の安定化を達成し、ATTR-CM 患者さんの心血管死および入院を低減し、治療成績の改善の臨床的ニーズを満たすことが示された。日本におけるビヨントラの承認は患者さんにとって重要な治療選択肢を提供し、アミロイドーシスの治療環境を変える重要なステップと言える。
