医療機器センターは19日、イノベーション促進と安定供給確保の両面からみた新時代の医療機器償還制度に関する提言を発表した。
同センターでは、医療機器の国民や患者への適切な提供を目的に、新たな償還制度の検討を行うため、「新時代の医療機器償還制度のあり方に関する検討会」(新時代検討会)を昨年5月に設置。新時代検討会は、印南一路慶應義塾大学名誉教授を座長に9名の有識者で構成され、その議論と提言を報告書にまとめ今回公表したもの。検討結果の骨子は次の通り。
◆提言1 医療機器の臨床的価値を念頭においた価格制度の必要性(逆ザヤ対策も含む)
◆提言2 物価等を念頭においた価格制度の必要性
◆提言3 大病院の医師の負担軽減のための新規医療技術の診療報酬上の評価(AI技術も含む)
◆提言4 医療イノベーション確保のための「新たな評価軸」の設定
◆提言5 安全使用に関して医療機器販売業者が担っているコストの診療報酬上の適切な反映
医療機器のイノベーション促進は、国民・患者が迅速に先端医療の恩恵を受けるため重要であるが、現在の材料価格制度は、1991年のバブル崩壊後の1993年中医協建議をもとに設計され、運用されてきた。
一方、長期のデフレからインフレへの転換、円安と物価上昇、人口減少や医療従事者の働き方改革による人材確保の困難化、生成AIを含むAI技術の急速な進化など、大きな環境変化が起きている。
即ち、現行の材料価格制度や診療報酬制度の評価方法では、イノベーション促進と安定供給確保に懸念が生じている。
こうした問題意識から同検討会では、国民・患者への適切な医療機器の提供に向け、新たな償還制度(現行制度の改善を含む)のあり方について議論を展開。現行制度には、さらなる改善の余地があると考え、同報告書では、5つを主たる提言とした。
新時代検討会は、こうした提言の実現により、医療機器の安定供給を実現し、国民・患者が、素早くイノベーションの恩恵を受けられる環境作りに繋がると考えている。同検討結果が関係各所による今後の検討の基礎となり、さらなる議論が進み、制度として具現化することが期待される。