高用量インフルエンザHAワクチン「エフルエルダ」国内製造販売承認取得 サノフィ

60歳以上成人の新たなインフルエンザ予防選択肢として期待

 サノフィは6日、インフルエンザワクチン「エフルエルダ」について、昨年12 月27日に高用量4価インフルエンザHAワクチン(QIV-HD)として、日本で製造販売承認を取得したと発表した。適応は、60歳以上の成人を対象にしたインフルエンザの予防。
 エフルエルダの一株当たりの抗原量は標準用量インフルエンザワクチンの4倍で、入院、肺炎、心臓発作、脳卒中など、インフルエンザによる深刻な合併症のリスクが高い高齢者層のために開発された。
 ワクチン接種は、インフルエンザウイルス感染とそれに伴う合併症を予防する最も効果的な手段と言われている。高齢者は免疫機能の低下(免疫老化)、フレイル、基礎疾患などの理由により、インフルエンザ感染に対して特に脆弱であるが、標準用量インフルエンザワクチンに対する免疫応答は、健康な若年成人と比較して十分ではない。
 インフルエンザワクチンが効果を発揮するには、免疫応答を高めるために抗原を多く含んだ高用量ワクチンが必要である。高用量インフルエンザワクチンは、2014年に厚労省により定められた「予防接種に関する基本的な計画」で開発優先度の高いワクチンの一つに位置付けられている。
 加齢により、心身の働きが弱くなってきた状態、虚弱エフルエルダ®は、標準用量ワクチンと比較して、高齢者のインフルエンザ発症予防に対する優れた有効性を示し、心肺イベントや肺炎などによる入院およびインフルエンザに関連する合併症に対してのリスク低下を示した。
 海外で実施されたランダム化臨床試験において、高齢者のインフルエンザ発症率に関し、エフルエルダの標準用量ワクチンに対する相対的ワクチン有効性は 24.2%であった(主要評価項目)。
 なお、補足的評価項目であるインフルエンザに関連する可能性のある原因を問わない入院および重篤な心肺イベントの相対的有用性は、原因を問わない入院では 6.9%、重篤な心肺イベントでは 17.7%であった。
 これらは、海外の12シーズンの4500万人以上を対象に実施されたランダム化比較試験および観察研究(リアルワールド有用性研究)において、確認されている。
 WHOの指針(山形系統 B 型株の除外によるインフルエンザワクチンの4価から3 価への移行)および2024年9月の厚労省による方針(インフルエンザ HA ワクチンは 2025/2026年シーズン以降は3価のワクチンによる接種)に従い、今後サノフィは、高用量3価インフルエンザHAワクチン(TIV-HD)として2025 年度内のエフルエルダの新発売を目指す。

◆国内P3相QHD00010試験4の医学専門家である永井英明氏(国立病院機構東京病院 感染症科部長)のコメント
 エフルエルダは海外で既に広く使われており、高齢者において、標準用量ワクチンと比較して優れた有効性を示し、肺炎やその他呼吸器・心血管疾患による入院等のインフルエンザに関連する合併症に対しても影響が示されているワクチンである。
 今回、エフルエルダが日本でも承認され、高齢者のインフルエンザに対する新たな予防の選択肢が加わることをうれしく思う。

◆デイビッド・ティック サノフィの執行役員ワクチンビジネスユニット ジェネラルマネジャーのコメント
 毎年の流行が懸念される季節性インフルエンザの予防において新たな選択肢を提供できることをうれしく思う。高齢者はインフルエンザとその合併症による負担が最も大きく、季節性インフルエンザ関連の死亡者の70~85%、インフルエンザ関連の入院患者の50~70%を占めると推定されている。
 加齢に伴い免疫力が自然に低下するため、インフルエンザ感染から守り、インフルエンザによる入院やその他の深刻な合併症による大きな負担を軽減するために、多くの国で高用量ワクチンが推奨されている。
 我々は、関係者の方々と協力し、エフルエルダの発売に向けて準備を進め、日本の公衆衛生に更に貢献していく。

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