エーザイは9日、ヒト化抗ヒト可溶性アミロイドβ(Aβ)凝集体モノクローナル抗体「レケンビ」(中国製品名:乐意保)について、中国国家薬品監督管理局(NMPA)より「アルツハイマー病による軽度
認知障害及び軽度の認知症の治療」の適応で、承認を取得したと発表した。
今回の承認は、2023 年 7 月の米国フル承認、2023 年9月の日本承認に次いで、3カ国目となる。今後、2024年度第2四半期中の発売に向けて準備を進めていく。
レケンビは、可溶性 Aβ凝集体(プロトフィブリル)に選択的に結合するとともに、Aβプラークの主要構成成分である不溶性 Aβ凝集体(フィブリル)にも結合し、脳内のAβプロトフィブリルおよびAβプラークを減少させると考えられている。
これらの作用により、アルツハイマー病(AD)の進行を抑制し、認知機能と日常生活機能の低下を遅らせることを実証し、承認された、世界で初めてかつ唯一の治療薬である。
中国の承認は、大規模グローバルP3試験(Clarity AD試験)に基づくもの。Clarity AD試験では、主要評価項目ならびに全ての重要な副次評価項目を統計学的に有意な結果をもって達成した。Clarity AD 試験の結果は、2022 年 11 月に第 15 回アルツハイマー病臨床試験会議(CTAD)で発表され、同時に査読学術専門誌 the New England Journal of Medicine にも掲載された。
エーザイでは、2024年の中国におけるADによる軽度認知障害および軽度の認知症の当事者数を1700万人と推定しており、今後高齢化の進展と共に増加していくと考えている。
中国においては、エーザイが販売並びに専門MRによる情報提供活動を行う。今後、オムニチャネルによるADの疾患啓発や血液バイオマーカーを含む診断環境の整備に向けた専門医との連携を進める。
また、既に一定のアクセス数や治療実績のある高齢者向けオンライン健康プラットフォーム“Yin Fa Tong”の活用により、専門医の紹介による早期受診の促進、治療後のフォローアップをワンストップで行えるサービスを提供する。
さらに、保険会社との連携による AD の保険プログラムの開発など、アクセス環境の整備も行っていく。これらにより、中国におけるシンプルなペイシェントジャーニー構築を加速していく。