塩野義製薬は21日、世界初の長期作用型注射剤レジメン「Apretude(カボテグラビル)」について、HIV感染予防の適応で米国食品医薬品局(FDA)より承認を取得したと発表した。
同社がグラクソスミスクライン(GSK)およびファイザーとともに資本参加しているヴィーブ社が公表したもので、対象は、HIV-1検査陰性でHIV感染リスクの高い体重35kg以上の成人および青年。
Apretudeの承認申請には、安全性と有効性を評価した2つの国際第PIIb/III試験であるHPTN083試験とHPTN084試験の良好な結果が主なデータとして提出された。カボテグラビルはそれぞれの試験で、FTC/TDFと比べて高い予防効果を示し、良好な結果を受けてデータ安全性モニタリング委員会から早期終了勧告を受けていた。
米国では現在、予防投与の恩恵を受ける可能性がある人のうち既存の経口予防オプションを服用しているのは25%以下で、新たなHIV防の選択肢が求められている。
Apretudeは、年間にわずか6回の投与で毎日服薬が必要なFTC/TDFと比べて高い予防効果を示すため、HIV予防の重要な選択肢になることが期待される。
Apretudeは2022年初旬に米国で出荷を開始する。投与方法は、医療従事者が月1回の単回注射を2回実施し、以降は2カ月に1回の注射を行うというもの。また、忍容性を確認するためにリードインとしてVocabria(カボテグラビル経口剤)の経口投与も可能である。
さらに、ヴィーブ社は、同剤の米国以外での予防適応の承認を取得するため、他の規制当局への承認申請を開始している。
なお、同件が塩野義製薬の2022年3月期の連結業績予想に与える影響に関しては、今後、状況に応じて精査する。